日記から/朧月夜
 
「美」、には理由があるわけではない。実際のところ、「美」は「美として」存在するし、その存在自身によって「美」は保証されている。人が美しく感じるものには「美しさ」があらかじめ内包されているわけだ。そして、人がなぜそれを「美しい」と感じるのかと言えば、「美」という概念の中に「美しさ」の定義やその感じ取り方が、伝統として折りたたまれて存在しているからだ。漢字文化圏であれば、「美」という漢字の中にその抽象が集約されているだろう。「美」という漢字の部首のうち、上の部分は多分羊を表し、下の部分は人間を表しているだろうか。そこから考えれば、東洋思想における「美」とは「必要」や「生命」そのものを表しているのだと考
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