日記から/朧月夜
と考えることが出来る。さらに西洋の知恵と伝統を借りて考えを進めるならば、フランス語では「美」は「beaute」。この中には「eau(水)」が含まれているし、発音は「haute(高い)」とも近い。フランス人にとって「美」という言葉は、「高き/尊き水」あるいは「(生きることに欠かせない)水よりも高い場所にあるもの」を必然的にイメージさせるものになっているわけだ。そして、東洋の「美」と、西洋の「beaute」とは、その発音にしろ意味合いにしろ、驚くほどよく似ている。「母」と「mother」に関してもそうだが、こうした西洋においても東洋においても、発音も意味もそれほど変わらない言葉の場合、神話的なバベルの塔が現実に起きる以前の世界、原初的な人間社会・人間文化の感覚そのものがそこに凝縮されているのだと言える。
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