咲花とかえで/日雇いくん◆hiyatQ6h0c
 
 黒っぽく光って見えるブザーがたまに求愛音を発しているその下で、森下かえではつかのま涼んでいた。学校が終わり、グラウンドに向かう途中、あまりの暑さに思わず避難したのだった。
 かえでは中学2年生。地域で活動する女子野球クラブのジュニアチームに所属し、日々練習を積んで、来たるべき未来に備えている。
 父親がテレビ観戦をしていた影響で野球が好きになり、小学校の頃から少年団で練習をするようになった。両親ともにその経験はなかったが、野球がしたいという意思を伝えるとすぐに承諾してくれた。そして中学へ進み女子の部活がないことを知ると、クラブチームをネットで見つけ、ほどなく入団した。
 酷暑で夏の音はとぎ
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