メモ/はるな
たしかな春の日差しを得ました。土曜日、風は必要以上につめたく、でもそれよりも空気のなかに溶けている季節がしきりに春を叫びます。わたしたちは指先をひんやりに染めながら、ねえねえ来たよね、これだよね、と笑い合う。
恋じゃなくてもかまわないと思いながら、寂しい背中に種を蒔きました。花が咲けば良いと思った。
でもそれは小さく、深い森を作って、気持ちをすっかり隠してしまった。
わたしたちは長いあいだ盲目でした。そのことに気が付かないくらい。
長い一瞬ののちに、百年はあっという間にすぎます。いつ森を出たのかは定かではないけれども、わたしは痛みを引き受けて立っています。蓋を開けたり閉めたりしながらこ
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