どうか咲いていて/ホロウ・シカエルボク
 

その日、ボロアパートの一室に帰って来ると、玄関のドアを開けてすぐに、花が一輪投げ捨ててあるのを見つけた。俺は一人暮らしで、花などには興味がない。従ってこれがなんという花なのかもわからない。花を持って訪ねて来るような親しい相手も居ない。というか、俺を訪ねて来る人間などひとりも居ないと言った方が話は早い。凄く派手な花びらを持った花で、花束にするよりは一輪挿しで飾る方が映えそうな花だ。さて、と、俺は少しの間花を見下ろしながら考えた。これをどうしたものだろう?このままここで枯れさせるのもどうにも気分が悪い。枯れるまでの間、ほんの少し世話をしてみてもいいかもしれない。だが、俺の部屋には花瓶がない…ちょっ
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