どうか咲いていて/ホロウ・シカエルボク
ょっと前そんな歌が流行ったなと思いながら、玄関のすぐそばにある台所スペースで花瓶の代わりになるようなものを探し、昨日飲み干したミニボトルタイプ―捻って明けるキャップがついているやつ―のコーヒー缶を見つけ、出来るだけきれいに洗って、玄関の花を拾い上げて、挿した。滅多に使わないコンロの正面にある窓の前に飾ると、なかなか悪くなかった。俺は安物アーティストのような態度でそいつをしばらく眺め、満足してシャワーを浴びた。汚れ仕事をしているため、どんなに疲れていてもまずはそうしなければ座る気にもなれない。濡れた身体を拭きながら台所に出る。特別脱衣スペースというようなものは無い部屋なので、必ずそこに出て来なければ
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