西脇詩の音楽性/藤原 実
 


倉橋由美子は「大脳の音楽 西脇詩集」(「毒薬としての文学」講談社文芸文庫)で、
「音楽と言っても朗唱して耳に快いなどということとは関係がなくて、西脇氏の詩の音楽は直接脳髄に響いて脳の回線を思いがけない具合に切ったりつないだりするらしく、脳髄がむず痒くなって笑いだしたくなる」
「詩が魂の感動の叫びであるといった俗説とは無縁の「大脳の音楽」がここにはある」

というように書いていて「脳の回線を思いがけない具合に切ったりつないだりするらしく、脳髄がむず痒くなって笑いだしたくなる」という表現がおもしろかったのですが、西脇順三郎といえばその詩学のカナメとして「遠いものを結びつける、あるいは近
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