昨日のランニング/番田 
 
雨が音を立てているだけの外を、昨日必死で足を出して走っていた僕の姿を思い出す、誰も知らない夜の用水路の脇で息を切らせていた…。昔原美術館で見たことのある呼吸する男の映っていた映像作品を思い出す。無料であっても、足を使えば良い作品は時々見られた。映像は心の片隅で記憶としてどうしても残ってしまう旅行と似ている。フランスの片田舎の空港で航空機を待っていた時のラウンジの影も、手荷物検査で捨てられたペットボトルの水の記憶も、確かに僕の中には残っていた。大学の最後の日の仲間の残していった背中の姿の印象に少しだけ似ていた。卒業してから、何か用があって、近くの用水路の道を歩いていた時に僕を追い越していった三人の自
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