昨日のランニング/番田
の自転車に乗った学生の姿を思い出す。彼らは、あの冬の景色の向こうに、何を見ていたのだろう。そして今は、どうしているのだろう。
橋を渡って僕は歩いていた。今はもう、あの頃の仲間とは連絡はとっていなかった。ずいぶん遠くまで来てしまったと、サーモス社の水筒の縁に口をつける。中の氷はこの炎天下だというのに、まだいくつか残っていた。あれほど夢中になっていたはずの、地下アイドルのライブにも足を運ぶことはなくなってしまっていた。オカリナを帰り道でいつも吹いていた友人のバンドだけは成功して、今ではちょっとした有名人だった。僕はといえば…、時々バンコクに女を探しに行っていた。ドミトリーで暮らしていた顔見知りのおじさんの泊まっている、ドンムアン空港近くに、いつも、宿をとっている。あの人はいまでも元気でいるだろうか…。
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