ある秋の一日に/番田 
 
僕は生きていることで、何もすることなく流れていく日々の中だ。寂れた、遠くに感じる、ビルの空。僕は、そんな、日々だ。冷えた風に秋を思わさせられた。何かが、誰かの横顔に見えていた。目の前から車が水しぶきを上げて、遠ざかっていく。僕が、椅子に座って、テレビを見ているときのようにして。

プロバイダ契約に奔走している、僕の日々。生きているような気が、確かに、僕はしていた。単なるキャッシュバックだが、軽視できるものではない。風呂に入っているときも、どれにするのかを考えさせられていたりする。手に入れられるものが、何かを選択することだけで手に入るというのだから、手に入れられないものの多いギャンブル以上に、熱
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