カナリヤ/道草次郎
水族館へいきたかった。動物園へいきたかった。映画館へいきたかった。プラネタリウムへいきたかった。遊園地へいきたかった。じつはぼく自身、それ程好きじゃなかったのだけど、一緒に行った人が「わぁー」って喜んでるのを見るのが凄く好きだから、そのために色々な所へ行きたかったのだ。
ぼくは、いつも自分の楽しみよりも人の喜びをみつめて来てしまった。そして、そういう人間のたどる末路を辿った。そのこと自体は詩を差し挟む余地のない、しかし、詩の湧出には一役を買う性質でもあった。
ぼくは自分がはじまりから間違っていたように思う。間違いを正そうとしたことは殆どなかった。その勇気が無かったのである。そして、その
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