娘のこと/はるな
娘はまだわたしのようには言葉をもたない。けれど、言葉なしの接触はつねに限りなく真摯であって、そのことはわたしを何度も打ちのめす。そのときわたしは、わたしでしかなく、同時にわたしである必要はないのだ。そういうふうに思う。すべてのものはいったん意味をなくし、それと同時に絶対的な意味を帯びる。そこにあるために、そこにある、という最初で最後の意味を持つ。すべてが。忘れていたのかしら、わたしは夫を愛したと気づいたときにも、その感覚を得たのだった。
わたしたちは―わたしと娘は―、今のところ、とてもうまくやっている。娘はとてもやさしい。わたしが笑っていても泣いていても、そばにいてくれる。もみじのような
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