ボクのマスターベーション(3)/花形新次
明日人に会うので、伸ばしに伸ばした髪を切りに床屋に出かけた。逗子駅前にある床屋で、中年の男性とその母親と思しき女性の二人でやっている。男性の方は、すっとした二枚目で、恐らくサーフィンか何かをやっているのだろう、一年中浅黒く日に焼けている。二人とも物静かで、必要以上の話はしない。だからと言って愛想が悪いわけでもない。店内にはいつも静かにジャズが流れていて、落ち着いた感じがとてもいい。僕のお気に入りだ。
ここは、僕の十七になる息子の行きつけでもある。
息子には自閉症という障害があるので、いつも妻が連れて行く。
実は、僕は息子と一度も一緒に行ったことがない。
息子がまだ小さい頃、よく突
[次のページ]
戻る 編 削 Point(17)