ボクのマスターベーション(3)/花形新次
 
く突然パニックを起こすことがあって、僕は息子を連れてどこかに行くということがとても苦手だった。だから、こういったことは、ほとんどすべて妻にやらせていた。今は息子も成長して、もうパニックを起こすこともなく、傍目には普通の十七歳の若者と変わりなく行動できるようになった。これなら、僕でも連れて行けるなと思い始めていた矢先、今度は逆に息子の方が僕と行くのを嫌がるようになった。僕としては、変化を極端に嫌うのが自閉症の特徴のひとつだから、これは仕方ないことなんだ、と自分に言い聞かせてはいたが、普通に考えれば、「調子良すぎるよ、あんた。」と思われているのだろう。決して息子がそう口にすることはないけれど。
 だ
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