川原/α
 
 
 水が流れる。その音がする。水が流れ、暗い。ために水の反射する光の他は川に見えない。時折波の高なりに消され亦つるりとした光が浮いてくる。溺れたようでもあり、肺魚が浮きつ沈みつしているようでもある。繰り返し繰り返し繰り返し川は流れる。
 目を逸らすとも繰り返し流れは絶えず、しかし川底が干涸びようとも興味はない。水は水道から得る為に小児向けキャンペーンでもなければ関わることは許容され得ぬのが常である。理由がなければならず、異性と異なり只心惹かれるだけで拘わるのはならぬということになっている。逆位置のカード。
 水道から水が出る限り永遠に川は私のものではなく故に私も川のものではない。水道がある
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