ナンセンス/榊 慧
テディベアのキットセットを打ち破る。
「こんなもの作ってどうするんだどうしたいんだ。」
「殺人したい。」
「なんになるんだ。」
俺は母親らしきものの胎内で灯ったときから嘘だらけの体だった。もうなにもいらない、そればかり、ずるいものばかりしかなかったそのなかで育った。
「空中分解されて人殺しになりたいんだよね。」
「知るか」
「死にたいならさ、人殺しにならないと」
くだらないね。やめたい。胸にナイフあてる遊びやら、くだらないね。やめたくはない。腕を切ったってただヒマつぶしなだけでやめたくはないね。
「能の霊(りょう)の蛇(じゃ)の能面みてさ、小面のポストカード買ってさ、」
「
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