聖域なき未来に少女がみた世界/済谷川蛍
『聖域なき未来に少女がみた世界』
未来は悪意に満ちていた。この世はグロテスクだった。聖域は幻想だった。憂鬱な雲を糧に煌々と燃える太陽が、一筋の光を伸ばしていた。放課後、一人になるのにうってつけの廃棄場に少女はいた。捨てられたオープンカーの助手席を倒し、空を見上げていた。4つの青い輪を燃やしながら上昇していく宇宙旅客機を見ながら、海峡の向こう側の街に巨大な爆弾と化して墜落すればいいのにと思った。しかし何事もなく機影は夕空に消えていった。少女はため息をついた。
「つまんないの」
しかたなく全身をバネにして飛び起き、車のドアを開けずに飛び降りて、目に映ったアンティークの携帯電話を拾い上
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