ある燃料/榊 慧
すぐに俺の性質によって打ち消されるそれを、ただひたすら肯定されてみたい。肯定されたい。ずっと肯定していてほしい。「肯定してほしい。」口に出した事はない。しかしずっとそう思っている。
肯定されたい、とにかく肯定されていたい、肯定されてみたい。誰か、といっても誰でもいいわけではもちろんないのだが、誰か、に、肯定されたい。という思い。それだけだった。過去形ではないけれど。
一回肯定してくれたとしても俺は俺の性質によってそれを打ち消すだろうし、打ち消すに足るものがあり、それはとても膨大で延々と続く。タンクで茹で死にするのを耐えているようなそんな気分のものが大きく垂れ下っている。例えば、
[次のページ]
戻る 編 削 Point(4)