世界のこと/はるな
将来の展望というものが、希薄だなと思う。それは他人と話していて、感じる。
思い出というものも、同じようにうすぼんやりしている。未来のことも、過去のことも、ぼんやりとしていて、遠い。
二年後とか三年後とか、はたまた五年前とか十年前とか、そういう、時間の感覚がつかめないのだ。同じように遠く、霞がかっている。物心もついて、生きていたのは確かだけれど、ありふれた映画を見るように思い浮かべることしかできない。
ではなつかしいのはなぜだろう。
昔の写真を見返すよりも、反射する朝の光に。ボーイフレンドにもらったCDを聞くよりも、大通りの車のエンジン音に。賞をとった絵よりも、青い影の色に。
それはな
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