「荒地」を読むための諸前提 2/るか
 
  

  「僕等は詩についてどこまでも語りうる。それは生と形式の問題であって、
   どのようにも論ずることが可能である。」
  「詩について考えることは、とりも直さず僕達の精神とを結びつける架橋
   工作である。」
  「僕達各個人が如何に分裂し、…内乱状態にあろうとも、なおひとつの無
   名にして共同なる社会において、離れ難く結び合っていること…。」

 「Xへの献辞」は、このように続いています。
 <無名にして共同なる社会>とは何でしょう。おそらく鮎川ら荒地派の人々に
は、作者と読者、読者と読者、作者と作者との、精神と精神とが「架橋」される
ことで形作られる想像
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