わたしが好きな詩人 ミーハー主義的雑文 3−3/るか
 
 鮎川信夫と荒地についての、ごく断片的な、呟きのような小文を
続けましょう。
 敗戦によって都市は焦土と化し、全てがゼロに帰したかのよう
に、鮎川の目には映っていたに違いありません。では、詩におい
て何がゼロになったのでしょうか。鮎川には、戦前から戦中にか
けて、自分たちが熱中していたモダニズムの言葉が、「信ずるに
足りない」ものとして反省を促された。今度は、そのモダニズム
の内実を瞥見してみたいと思います。
 
 詩誌「詩と詩論」に代表されるようなモダニズムの発展のなか
に出発した鮎川は、世代的には、先行するアヴァンギャルドの実
験を実体験できなかったものと推測できます。ま
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