晴れたら金の鈴/照留 セレン
晴れたら金の鈴 照留セレン
ベランダに、てるてる坊主が落ちていた。
古シャツの端切れで綿をくるんで作った顔に、点の目とにっこり笑った口が書いてある。多分先週の、長雨のときに作ったものだ。少し汚れている。
何となく気の毒に思って、物干し竿にくくりつけることにした。これできっと、落ちないはずだ。
前線が東に行ってしまったらしく、今日の空は綺麗に晴れている。羊の群れみたいな雲が浮かんでいる。のどかだ。
私は部屋の中に戻り、布団を取ってきた。干そう。最近じめっとしてたせいか、何となく夢見が悪かったのだ。今日こそ、ふかふかの布団で眠れる。
重い綿布団をベランダ
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