空港のどこかへ/番田 
 
航空機はシャルルドゴールと呼ばれているフランスの空港に降り立つ。座席の向こうに広がる風景に目をやると、明らかに日本とは違う光の風景に目を奪われた。座席は定期的にクリーニングにかけられているのだろう。そこにあるのが物体自体の色か、太陽の光の彩度か、首をひねってもわからない気がした。10時間という途方もない飛行時間で座席はひどく汗ばんでいて、僕の匂いはしっかりと染みこんでいたのかもしれない。外国だったけれど、どのくらいの期間にどのようなクリーニングをしているのかを考えると、そこに体臭のきつい人間が座っている姿を想像して、ぞっとした。コンベアは途切れている継ぎ目もなく流れ続け、メンテナンスのことを考えて
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