空港のどこかへ/番田 
 
えていない構造で、出たところが空港の中央付近のようで、免税店のカラフルな装飾が目を引いた。

空港からは無人電車に乗り、パリに続く国鉄が乗り入れする駅に向かう必要があり、洞穴のように続くトンネルを高速で走るコンベアに立ち、流れていく岩肌を見つめていると、前に日本人女性が立っていた。看板の文字には英語は少なく、フランス語ばかりで、知る人ぞ知るそのルートを金髪の人間たちが先人を切って進んでいく姿にぼんやりとついていった。4月という時期とはいっても、バブル期に比べるともう、訪れてくる日本人の観光客自体が少なくなっているのかもしれないが、入国審査の担当員から思い出したように「コンニチハ」と声をかけられて、トランクを受け取りに向かう。広告表現は奇抜なものが多く、日本のパチンコ店の宣伝広告のように、そこに出ているヘッドフォンをしている女の子はかわいらしく、僕は一瞬そこに立ちつくしてしまった。

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