詩が沈黙する時/岡部淳太郎
自分にとって詩とは何なのかということを考える時、必ずと言っていいほど詩と詩ではないものとの二項対立の図式を思い浮かべてしまう。これは思考のパターンとしてある種の悪癖であるのかもしれないし、安易な思考法であるのかもしれない。しかし、詩を書き始めたのは偶然でただ何となくであるかもしれないが、長年に渡って詩を書きつづけているうちに、詩が自らの内側にしっかりと根を下ろしてしまっていることは事実だ。詩と自分は、もはや切り離しえない関係になってしまっているのだ。詩が自分であり、自分が詩であるような状態であり、詩を書き始めてからの四半世紀以上に及ぶ長い時間は、自らの人格のほとんどすべてを詩の中に投げこんでしま
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