アポカテラロ 花嫁/人 さわこ
その日、私の日記には。私が愛してやまない人物の名前を書き綴った。
どうしたって手に入らない物は沢山ある。それをわかった上で思う。決して、諦めてきたわけではないと。独りで立ち上がってやっと見えるものは、いつも想像もできないような新しい出会いだったから。ずっと感じていた、私の背を押している何か。振りかえれば消えてしまいそうで、前だけを見て、ひたすらを行く。わかっている、もう私は知っている。大丈夫、私は行こう。
見覚えのあるマグカップ、暖かい紅茶が並ぶ。ブタの貯金箱と交換で、叔母の誕生日を祝ったミッキーマウス。鼻が折れてしまっていた。次から次へとお菓子をすすめられる、久しぶりだった。目前のその人
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