嬢とジョーと時々モヒカン/影山影司
通勤路に、猫家族がいるのを発見する。白と黒のまだら模様を浮かべた親猫のそばに、ちょろちょろと子猫が数匹走っていた。僕は路地裏を自転車で走るのが好きなので、猫の寝床もまた、路地裏に面している。門扉を備え付けていない、打ちっぱなしのコンクリートで作られたガレージ。猫の額程度の土地を最大限に使っています、といった狭い空間にシルバーのバンが停まっている。
奥のほうへ行ってしまえば、僕のような通行人には触れやしないのだが、幸いそこの親猫は「あたいも色々忙しいのよ」といった表情でガレージの入り口に鎮座している。
ガレージと道の間には、鉄板を被せて覆っただけの細く枯れた水路があり、錆の浮いた鉄板の隙間
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