無関心について/パンの愛人
私は時事的な問題にたいして、いっこうに関心をもつことのできないタイプの人間である。より正確に言えば、けっして関心を持たないわけではないが、それが直接的な行動にあらわれにくいといったタイプの人間である。それがいいことだとは思わないが、しかしそれが悪いことだとも思わない。
ところが、世間には少数ながら、私のような人間にたいしていきどおりを見せるひともいる。そういった無関心が社会悪を放置ないしは助長させる結果になっている、というのが、おそらくそういったひとたちの主張であるのだろう。しかし、いくらそう力説されたところで、私はただ肩をすくめるだけである。
たしかに世の中には問題が山積している。
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