Petloss/シリ・カゲル
 
 エルロイがひっそりと姿を消してから三ヵ月が経った。最初の二、三日はいつもの気まぐれで家に帰ってこないだけだと思っていた。だからなつきはたっぷりと餌を盛ったお気に入りの皿を、玄関の通用窓の前に置いておいた。だが一週間経っても餌はいっこうに減らなかった。動物の中でも猫族はプライドが高く、自分の死骸を人目につかないところに隠す習性があることに思い至ったのは、さらに五日間経ってからだった。

 エルロイはなつきの東京での最初のルームメイトだった。なつきは十八歳の時、ケーキ職人を目指して福島から出てきた。初めての一人暮らしは快適な反面、いままで感じなかった瞬間に孤独を感じることが多くなった。それを聞い
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