昨日は孤独な世界?/錯春
 
あるいくつかの凶暴で傲慢な視界について。



団地に女の子が一人、生活をしている。名はモモヨ。彼女は半年おきに形態を変化させる。緩やかに30キロ太り、緩やかに30キロ痩せる。何度もそれを繰り返し、家族も友人もペットもそれが彼女の生態系のひとつだと思って、慣れっこになった。
モモヨは醜いわけではない。かといって綺麗なわけでもない。それでも彼女はヒステリックに騒いだりはしない。どう変化しようと、なりたくてそうなったわけではないが、とくに恐れてもいなかったから。
変わらないのは物心ついたときから長い髪の毛だけ。
彼女の「切らない染めない気にしない」の信念をもとに、一年にきっかり12センチ
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