共感装置の勝利/岡部淳太郎
日本において詩は、難解であるか平易であるかというふうな語られ方をされやすい。詩作品をいくつか並べてみてどれが難解でどれが平易であるかというのは、誰にとってもわかりやすい物差しであるから、そうなってしまうのもある程度はやむをえないところもあるだろう。だが、難解か平易かというのは、詩の表面に表われた見かけに過ぎないのではないだろうか。何よりも難解と平易というふうに分けることで、難解であるとされる現代詩全般とそうでない詩という安易な対立軸が持ちこまれて、互いの本質が見えにくくなっているように思える。それは詩を理解する上において無用な混乱を生み出しているし、そんな物差しでは詩を本当に理解することは出来な
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