ショートショート/水のなかのガラスのように/いすず
 
白のガーベラには黄のカンパニュラ、グリーンのつぼみに甘いリリオペ・・・・・・

いつもの電車に揺られると、今日はほっとする。
今日は一緒にいるから。とうとう、正式に二人で決めて、その報告への帰り道。
手元のブーケ、あるかないかでも、清々しい美しさと香りに包まれて、京子は親元へ帰る。

これは、とある街の物語。

公園の奥へと入ってゆく。しんとしたなめらかな空気に、まつわる木漏れ陽。
ふたりは木陰で休みながら、中央の噴水のようすを眺めみる。

「ねぇ、大事なはなしがあるの」
男は彼女を見ながら、優しく髪をもてあそんだ。
風がさざめいている。
「生き物って、水へ還るとかいう
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