向こう側の貴方へ/maynard
拝啓、とさせていただきます。
日々つつがなくお過ごしでいられますでしょうか?
貴方と途絶えて最後にお目にかかったのは何時かもうすでに忘却の彼方ではありますが、今まで二人でどんな時を過ごしたか想い起こすだけでむさ苦しいほどの霧に包まれた冷涼たる風が吹き付ける私の心の廃墟にも、少なからずの日の光が届くようになりました。
今更この様な手紙がお手元に現れても、おそらく身を固められてその心ばえにふさわしくきっと優しくも頼もしいお連れ様とお過ごしていられる貴方には迷惑この上ないでしょうが、意味も無く端に寄せられる様な変わり者の話をしばしお聞きくださいませ。
昨年の秋、相棒とのかつてからの夢の第一歩
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