http://po-m.com/forum/
ja
Poems list
2024-03-29T10:48:47+09:00
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cat
我輩は捨て猫である 段ボール箱を住処とし
人の流れを ここから見ている
名前はもう無い ミケだかタマだか
なんかそんな風に呼ばれてたけど もう無くなった
she
猫を捨てた帰り道 天気は覚えていない
いや確か 雨が降っていたような気がする
いずれにせよ ずぶ濡れで泣いていて
何がどうなったのか よく分からなくなっていた
cat
独りぼっちには慣れている 元々そういう性分だが
こんな自分にも 笑いかけてくれた人が居た
今となっては あの日々も悪くはなかったが
いずれ無くなる温もりなら 知らない方が良かった
she
コンビニでビールを買って アパートに帰った
まだ猫の匂いがする 大好きだった匂い
ひょっとして捨てたのは 私の心かもしれない
愛せなくなる前に 諦めてしまったのだ
cat
排気ガスで 汚れてしまった毛並み
雨が降って 染み付いた汚れを洗い流してゆく
濡れた段ボールの家に 傘を立て掛ける者が居た
そんな物は僕には もったいなくて申し訳ない
she
気がつくと眠っていたようだ 少し酩酊していて
自分勝手なものだ こんなに独りが寂しいなんて
何事もなかったように ちゃんと後悔していて
まだ明けない町へと アパートを飛び出した
cat
やっと段ボールの家を 抜け出す決心がついた
ここに居たって いつまでも止まない雨
行く先々で 突然の雨を睨む人の目
あの人は濡れていないだろうか ふと思った
she
何もかも遅かったみたい 猫は居なくなっていた
置き去りにされた傘 いつまでも止まない雨
きっと誰か優しい人に 拾われたのだと
都合の良いように解釈して 生きていくしかない ]]>
http://po-m.com/forum/showdoc.php?did=381894
自由詩
2024-02-23T15:59:56+09:00
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大嫌いな数学の宿題もそっちのけで
雨を眺めていた 頬杖をついて
身体は確かにここにあるのに
心はどっかへ行ってしまったみたいだ
そう言えばあの日もこんな雨だったっけ
逃げ込んだ屋上で ふたり雨宿り
打ち明けてくれた君の夢の話は
とても眩しくて目を伏せてしまった
吹奏楽部の練習をBGMに
書き進めていく 物語はやけに
君との思い出ばかりを詰め込み過ぎて
何だか嫌気がさすけれど
君と居た日々が 普通の日々に
飲み込まれてしまわないように
私は今日もペンを走らせる
追いつかれないように 必死なの
チャイムの音でふと我に返った
独りの教室 静まり返って
懐かしい君の笑い声だけが
やけに頭ん中ずっと響いていた
言葉にすることさえずっと怖くて
胸にしまっていた 私の夢の話を
君だけは真面目な顔で聞いてくれて
そして少し笑ってくれた
君にもらった勇気だから
何よりも大切で 温かい
だからそれに恥じないように
私は私らしく生きなくちゃ
気がつけば雨も上がっていて
私は急いで 屋上へ駆け上がる
すごいスピードで雲が流れていく
私の未来みたい 予想なんて出来やしない
微かに空いた雲の隙間
虹が出るかもしれない ]]>
http://po-m.com/forum/showdoc.php?did=381541
自由詩
2024-02-03T19:47:22+09:00
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こんなに明るい空を見ながら 家に帰るなんて
久しぶりだなって 独り言を噛みしめて歩く
目が回るように 忙しいあの日々を思い出すと
何だか懐かしくて どこかばつが悪くて
得体の知れない怪物に 常に見張られているみたいで
みんながみんな萎縮して 僕らの心は摩耗して
マスクで顔を隠す子どもたち 今どんな顔をしてる?
どうかこの世界を恨むな 希望だけは捨てるな
僕らの平和ボケは 偉大なる人の死に打ち砕かれ
唐突に気づかされたんだ そうか人は死ぬんだなって
生きている人と死んだ人を 分けるものって何だろう
あの時もそうだったよな 僕らは生かされているだけ
考え抜いた果てにぽつんと一つ
今日を生きている僕こそが答えだ
想像することは決して止めるな
心まで閉ざしてはいけない
想像することは消して止めるな
心まで奴らに渡してはダメだ
いつもは出不精な僕だって ちゃんと出かけたくなった
独りが好きな僕だって ちゃんと誰かに会いたくなった
好きな歌を忘れるな 好きな人を忘れるな
そういう物が きっと君を救ってくれるから
こんなに明るい空を見ながら 家に帰るなんて
久しぶりだなって独り言を 噛みしめて歩く
そして今日くらいは ほんの少しだけでも
遠回りして帰ろうかなんて 思ったりして
久しぶりに詩でも書こうかなんて 思ったりして ]]>
http://po-m.com/forum/showdoc.php?did=356026
自由詩
2020-04-27T00:10:15+09:00
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君と笑ってた頃が懐かしい 見つけたばかりの星を指差して
そんな夢を語る時ももう過ぎたのかな 今はひとり夜空の下
どれだけ歩いて進んでも 近づいた気がしないのは
暗闇に浮かぶあの星が 自分の星じゃないからかもしれない
君と手を離したとき この世界は終わったはずだったんだ
なんかやけに そんなことを最近思い出したりしている
でもおかしいな そこからまだ続きがあったようだ
あの時僕は死んだのかもしれない そしてまた生まれたんだ
そうしてようやく気づいた こんな僕にだって
やらなければならないことが 残っているんだってことに
時を越えて輝き続ける 名前のない星をひとつ借りてきて
こっそり自分の名前をつけた 夢を描いた旗を突き刺して
信じ続けていれば 偽物もいつか本物になるのかな
もうそうやって 生きていくしか道はないみたいだ
時が経って僕は 諦めても良い理由を欲してしまったのだ
あの頃は良かったなと 思い出話になるのも悪くないよな
それでも心に灯っていた 灯台はいつまでも光線を放って
ずっと同じ道を示していた 暗い海原の向こう側へと
諦めのいい人間ならば 何度諦めても懲りないってことだろう
いつの日か 諦めた理由すらまた忘れてしまうんだ
あの星の光は いつも同じ等級じゃないように思える
やけに明るく見えたり かと思えば見えない日があったり
どうやら今更 引き返したって同じところまで来たようだ
あの星が偽物だとしても すがり付いて生きていくしかないようだ ]]>
http://po-m.com/forum/showdoc.php?did=326694
自由詩
2017-02-01T23:09:47+09:00
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じゃあ、またって手を振って ひとりぼっちになった君の顔には
さっきまで誰かに見せていた笑顔が しばらく張り付いていた
本当は寂しくて 泣き出したくなった気持ちを堪えて
まだ何か言いたげに 心はぶるぶると震えていた
僕たちは約束を求める生き物だ 先の見えない未来は不安だから
ともすると僕たちは 約束に生かされていると言ってもよい
何かの終わりは 新しい何かの始まりだということ
そう思わなければ 終わりの重圧に押し潰されそうだから
坂道の途中で振り返る かつての面影は遥か遠く
何にも変われなかった また繰り返しの毎日だった
そんな気持ちでいっぱいで 青空にもお天道様にも
何だか申し訳ない気分になって 思わずうつ向いてしまうけど
まだ何も終わりじゃない ここはまだ途中だと信じてる
幼子が手放してしまったのか 真っ赤な風船は重力を振り切って
街の頭上にのし掛かっている 真っ青な空へと浮かび上がった
それはどこまでも自由で 同時に寂しくもあって
笑えばいいのか泣けばいいのか よく分からない顔で見上げていた
幼子を見下ろして 風船はどんな気持ちだっただろうか
自由への安堵を感じたか それとも孤独感に苛まれただろうか
自由とは時として恐怖だ 何かに縛られている方が楽かもしれない
夢や希望もきっとそう 贖罪や諦めなんてのもその類い
君を動かすものならば なんだって構わないよ
思いの絶対値はきっと変わらない きっかけになりうるのは
喜びだって悔恨だって 君を前に進ませる動力になりうる
ということは 何もかも無駄ではないということなんだよ
まだ何も終わりじゃない ここはまだ途中だと信じてる
全てが終わってしまっても 舞台からしばらく動けなかったこと
皆が馬鹿にした誰かの夢物語を 君だけが真剣に聴いていたこと
誰もがただ通りすぎるところで 君だけが立ち止まってしまったこと
皆の前では笑って見せて 後でひとりこっそり泣いたこと
何にも変われなかった? また繰り返しの毎日だった?
そんなことないだろう 同じ場所に立っている君だけど
見る人が見れば分かる あの頃とは全然変わっているところ
それと同様に 相変わらずなところもあるだろうけど
ということは 何もかも無駄ではないということなんだよ
まだ何も終わりじゃない ここはまだ途中だと信じてる ]]>
http://po-m.com/forum/showdoc.php?did=316841
自由詩
2016-03-23T15:21:36+09:00
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「また言葉に逃げるんだな」 外見の身体がつぶやいた
中身の心は隅っこに 隠れて聴こえていないふりをしている
君は今でも 過去を真空パックすることに夢中でいる
少しの汚れも入らないように なるべくきれいに清純にと
自称詩人のあの人も いつかは現実の世界に帰って行った
なんだよつまんねぇな ずっと仲間だと思っていたのに
閉じた扉の向こうから 言葉が言葉が溢れてくる
もういいよたくさんだ 背中で必死に扉を押し留めようとする
これは本当に僕の言葉なのか 信じたくないほど汚らしい
とめどなく溢れてくる ずぶずぶと言葉に溺れていく
「また言葉に逃げるんだな」 言葉は僕を裏切らないからって
そりゃそうに決まってるだろう お前が選んだ言葉なのだから
無菌室に閉じ込めて 死ねずに磔にされているいつかの言葉
信念というよりもう洗脳に近い いつでも正しくその通りにと
夢を語りあったあの夜だけ 繰り返しループしている
なんだよつまんねぇな もう誰も居なくなっちまった
閉じた扉の向こうから 言葉が言葉が溢れてくる
こんなのは僕じゃないって 遠ざけ続けるそれはまさしく
いつか好んだ僕の言葉だった そしてここに立つ僕でさえ
未来の自分に殺される身だ ずぶずぶと言葉に溺れていく
血だらけの手で立つ僕の背中に 足音が迫ってくる
どうやらもうおしまいだ 外見の身体は覚悟した
中身の心はみっともなく いつまでも叫び続けている
まだ信じていてほしいって まだ生きていたいって
閉じた扉の向こうから 言葉が言葉が溢れてくる
それはついに僕を飲み込んだ どうやら時間が来たようだ
今度はうまくやってくれ 新しい自分に引導を渡す
とめどなく溢れてくる ずぶずぶと言葉に溺れていく
ずぶずぶと言葉に溺れていく ]]>
http://po-m.com/forum/showdoc.php?did=316702
自由詩
2016-03-18T16:19:43+09:00
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それはいつかの晴れた日 君は空を眺めてて
飛びたくなくなったって 寂しそうに愚痴る
どうしようなんて そんなこと僕に聞くなよ
僕に大層なこと 言えるはずもないだろ
けど誰だってそう 何にもしたくなくなって
ただ風に吹かれたり 閉じこもりたい日々もあるだろ
だましだましやってきて 魂果てて萎れた羽
しばらく飛ぶことを忘れて 生きてみることにした
普通に買い物に行って 普通に映画を見に行って
ただ歌を歌ってみたり 何もしなかったり
街の喧騒に溶け込んで どうにだって生きてゆけるって
こだわることなんて 何一つ必要なかったんだ
飛びたいと願った日々のこと まだ楽しそうに話せる?
いつか君にそう問ったら 話してくれたっけ
まるで子供みたいに 目を輝かせながら
その時の空が どんなに美しかったのかを
そして思い立って ほら!って頭上を指差すけど
そこに在るのは今日の空だった
君が思う物語通りに 世界は進んでくれない
あの頃と空の色も違うし 心も体も変わってる
それでも君は全て受け入れて 進むつもりでしょ?
分かってるって ずっと守り続けてゆくって
いつかまた飛ぶ日まで ]]>
http://po-m.com/forum/showdoc.php?did=315063
自由詩
2016-01-22T21:55:14+09:00
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最初の一滴が頬にはじけて しまった、と思った
それから間もなく 街は音に飲み込まれていった
僕は慌てて逃げ込んだが もうすでにびしょ濡れで
傘を差して歩く人を うらやましく眺めていた
ぽつぽつと白雨は 夕方の街に降りはじめた
その一滴一滴に 街の風景を繰り返し閉じ込めて
どうやら抜け出すタイミングを 見失ったみたいだ
空を睨みつけて 完全に立ち尽くしてしまった
傘を持たずとも 勇ましく歩く人を遠くに見つけた
その人が僕に向かって 何か言葉を叫んでいたけど
何を言ってるのか 音にかき消され聞こえなかった
その姿は いつかの僕に似ているような気がした
しとしとと白雨は 夕方の街に降り注いでいる
抜け出せなくなった 僕を置き去りにするみたいに
歩いていく背中は 雨の向こうへ小さくなっていった
あの人みたいに ずぶ濡れても歩き出す勇気が僕にもあれば
今よりはもっと いさぎよく人生を歩けたのだろうか
そんな勇気を 今さら振り絞ることもなくなったのだ
ざぁざぁと白雨は 夕方の街に降り続けている
それはとてもきれいで 長いこと僕は見惚れていた
傘を差して歩く人 開き直って濡れながら駆ける人
そして雨宿りをする人 雨はすべてを飲み込んでいく
ほんの少しだけ 立ち止まっているだけと言い聞かす
この雨が上がったら 僕も遠くへ行けるだろうか ]]>
http://po-m.com/forum/showdoc.php?did=313271
自由詩
2015-12-04T22:52:38+09:00
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最近のロックンロールは もう終わってるわって言って
彼女はいつまでも 古ぼけた時代遅れのCDを回し続ける
その間にも 砂時計の砂はどんどん覆い被さっていって
何とか埋もれないように 必死で掘り返し続けている
君の心の中のスナフキンは言う
君のためだけに 歌われた歌なんて
君のためだけに 紡がれた詞なんて
そもそも最初っから そんなものなかったんだよ
君がそういう風に ずっと思い込んでいただけなのだから
音楽がないと 生きていけないって言っていたあの娘も
いつの日か マイクを置いてしまわないといけなくなったんだ
それは誰にも言えない とても寂しい決断だったけど
だけど心のどこかで 諦めてもいい理由をずっと欲していたんだ
君の心の中のスナフキンは言う
すぐに自分のこと 許せてしまうだろう
すぐ別のことに 逃げてしまえるだろう
だけどそれでも 自分の場所を見失いそうになったとき
いつだって ここに戻ってきてもいいんだよ
舞台の真ん中で ちゃんと前を向いて歌った彼も今じゃ
頭を下げて過ごす日々 足元ばかり気にして歩いて
部屋に閉じ籠っては 誰も聴いちゃくれないような歌を作って
そいつをこっそりと ネットの世界の片隅で披露するのだ
君の心の中のスナフキンは言う
何もやり方は ひとつじゃないさ
この世は全部が 大きな舞台なんだから
誰も見向きもしないなら 自分のためと言い張ればいい
どうやってでも それをやめることができないならば
毎日が冒険だったあの頃は過ぎ
輝かしい自分は今じゃもう昔話の中
暑い日には駆け回って汗かいて
寒い日には仲間たちと身を寄せ合って
終わりのない未来へ向かったんだ
そんな今僕らがいるのは
そうやってたどり着いた場所だ
だけど未だにゴールとは呼べないだろう
君の心の中のスナフキンは元気かい?
まだおんなじように歌ってるかい? ]]>
http://po-m.com/forum/showdoc.php?did=312937
自由詩
2015-11-26T01:31:41+09:00
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教室の床には
紙屑がそこら中にちらばっていた
君たち教室の床はな
ゴミ箱じゃないんだぞって
先生の話も聞かないで子どもたちは
紙を切り刻むのに夢中になっている
あちこちから
チョキチョキとはさみの音が聞こえる
だって先生が言ったんじゃん…
どこからともなく声が上がる
A4の紙をひらひらさせながら
ハサミを片手にその子は言う
「だって先生が言ったんじゃん
紙を半分に切って重ねる作業を
42回繰り返すだけで
それが月まで積み上がる」って
いやいや言ったけどもだな…
だからって今やることじゃないだろう
そもそも42回も切れるわけないだろう
あれはもしもの話をしただけでだな
それより今は君たちの大事な進路の話を
しているのであってだなって
先生の話も聞かないで
子どもたちは必死になって
はさみを動かし続けてる
半分に切って重ねて
重ねては切って
切ってはまた重ねて
重ねてはまたまた切って…
学級通信も
小テストのプリントも
給食献立表も
さっき配ったばかりの
進路希望調査のプリントも
見事に片っ端から散り散りに
そうかそうか分かった分かった
先生が悪かったんだな
42回切ったら
月へとたどり着く話なんかよりも先に
教室がゴミ箱ではないことや
人の話はちゃんと聞くことや
配られたプリントを
ぞんざいに扱うなということを
教えるべきだったんだな ]]>
http://po-m.com/forum/showdoc.php?did=312489
自由詩
2015-11-15T02:47:31+09:00
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ひとり部屋にうずくまって 灯りという灯りをすべて消すと
明るい世界に すっかり目が慣れていたせいで
その刹那 僕は自分の手のひらの位置すらすぐに見失った
僕はここに居ながらにして 宇宙へと旅に出たのだ
いわゆる本当の僕ってやつは 何処かに置き忘れたっけな
かつて暮らしていたあの街で 雨粒に濡れて震えているか
もしやあの人に預けたまま 返してもらってないのかもしれない
邪険にされてないとよいが 願わくば残っていてほしいが
人は生きているだけで 与えているのだという
ともすれば それは受け取っていることと同義だ
それならば 僕は僕が受け取ったものをどうしたのだろうか
いつかあの海で見上げた夜空 星々は犇めきあって輝いていた
互いに寄り添い合っているように そんな風に見えたけど
その実きっと 星々の間には途方もない隔たりがあって
互いに出会うことなど 以ての他ないことなのだろう
繋がっているように思えて 全く以て浅かったのだ
誰彼の名がゲシュタルト崩壊し始めた そこではじめて気がつく
僕らもあの星と一緒なのかもしれないと
たまらずに僕は暗闇の中を探した
何処かに光はないものか!
ディスプレイに散らばるSNSやブログの中
何処かに光はないものか!
片付かないままの引き出しの中
何処かに光はないものか!
かつて書きなぐった詩集ノートの中
何処かに光はないものか!
何処かに光はないものか!
人は生きているだけで 輝いているものなのだと
ともすれば 僕だって輝いていることと同義だろうか
どんなに与え続けても どんなに失い続けても
決して完全に消えることはないのだ そんな光のことを
僕たちは"心"と呼んだ 生きとし生けるすべてに宿った
途方もなく広い宇宙に浮かぶ 微かだが確かに輝く赤子の星の名だ ]]>
http://po-m.com/forum/showdoc.php?did=311768
自由詩
2015-10-25T23:55:38+09:00
-
暗闇にまぎれて 人知れず夢を見る
誰にもバレなきゃいいやと
喋らないで終わらせる ひっそり心の奥で
勝手に決着をつけて
後に残るものは空しさだけ それが積み重なって
取り囲まれて途方に暮れる頃
「こんなはずじゃなかった」 そんな短い言葉が
はじめて音をまとって零れた
そして君は歩き出す 空っぽの心に
たったひとつ誓いを詰め込んで
誰も気付くことはない 君だけの戦いが
ここであったこと
にぎやかな街の向こう側から 聴こえてくるのは
君を知ろうともしない 馬鹿な奴らの声
「君は君のままでいい」 なんて誰かが言ってても
もう胸張って 信じてる場合じゃないのかも
優しさばかり着飾った うわべだけの言葉だけで
簡単に片付けられるような 日々じゃないよな
ほらもう夜は明けはじめてる
君だけが見届けた終わりとはじまり
「君は君で笑っていて」 そんなきれいな言葉も
もう擦り減って 頼ってる場合じゃないけれど
心の奥に最後まで ほのかに残る温もりを
抱きしめてまだ歩けるよ 君だけが見つけた光の射す場所まで ]]>
http://po-m.com/forum/showdoc.php?did=311715
自由詩
2015-10-24T23:20:00+09:00
-
懐かしいね ここは君が終わった場所
同時にさ 始まった場所でもあるんだ
信じられるかい ここに確かに君は居たんだ
最後の最後まで 色んなもの守ろうとしてた
消えないでよ 何度も空に放った
祈りは果てしない 夜をいくつも越えたけど
静かだった空を 見たこともない光が
強く照らして とても綺麗だったけど
懐かしいね 時間は巻き戻ってゆく
終わることのないパーティーさ 騒がしい毎日
歌う意味を ここで確かに教わったんだ
それは昨日のように 思い出せるんだ
砂になった記憶を 手のひらで掬って
風の中に散らせば まだ無邪気な歌が聴こえる
お気に入りの場所は 今までたくさんあった
いつだってそう お終いには全部壊されて
さようならさ 降り注ぐ星に見とれてた
それは君に 大きな穴ぼこを残したよ
今でも この胸に
いつでも
痛かった記憶は 少しだけあるけど
いつだってそう お終いには優しさだけが残るの
ぽっかり開いた穴ぼこの淵で 歌ったんだ
さようならさ 降り注ぐ星に見とれてた
そして君は 新しい旅に出たんだ ]]>
http://po-m.com/forum/showdoc.php?did=311665
自由詩
2015-10-23T18:23:52+09:00
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くたびれた大きなバスが
大袈裟に息を吐き出して発車した
窓ガラスに映るのは
やはり同じようにくたびれた顔たち
拝啓、エメット・ブラウン博士
ここにはタイムマシンもなければ
そもそも宙に浮かぶ車がない
僕たちはいつだって地を這って生きる
手のひらサイズの小さな相棒
そいつは文句のひとつも言わないで
好きなとき好きなだけ遊んでくれる
そいつはなんでも見せてくれる
行ったことのない場所の風景から
女の裸の細部の細部まで
公園で拾ったカピカピのエロ本に
ドキドキした頃が懐かしいよ
頭でっかちな子供たちへ
お前がうざいきもいと罵る大人たちこそ
お前の生きる今を作っている
例外はあるかもしれないけど
産まれる場所も環境も選べない
だけどきっと咲いた場所で笑えるよ
そしていつかそんなお前たちこそが
世界を作りかえる時がやってくるんだ
いつまでも明るい街のビルの隙間
見えない見えないと言うけれど
夜空に案外星が見えるもんだな
当たり前だが手を伸ばしても
捕まえることはできないけれど
その光は感じることができるだろう
ディスプレイに映っているんじゃない
あなたが実際に見ている光だろう
満員バス
汗ばんだつり革
客引き
歓楽街
無料案内所
ラーメン屋
ワンオペ
ブラック企業
残業
過労死
40代のステイドリーマー
夢と現実
大学受験
就職活動
ニートと社会人
SNS
掲示板
ネトゲ廃人
自称詩人
自称俳人
自称歌人
諦める
諦めない
諦め方すらもう忘れてしまった
たくさんの生傷を刻んだまま
今この場所に
立っているこの両足こそ
あの日つまづいて転げて
血だらけになった両足だ
忘れないで
その両足が歩む道の先だけが
未来と呼べる場所に繋がっていること ]]>
http://po-m.com/forum/showdoc.php?did=311627
自由詩
2015-10-22T13:01:10+09:00
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足元から少しずつ 冷気が這い上がってくるのが分かる
滑稽なことだ それが自分の温かさを思い出させてくれる
丸い窓には 吐き出したため息が凍り付いて張り付いた
その向こう側から 誰かが覗き込んでいるようだ
長い長い旅に出る 僕はここに寝転がったままで
いつの日かちゃんと 目覚められますようにって
願いを込めて目を閉じるよ
心臓の音がよく聞こえる 僕が生きているのは確かだ
しかしそれももうすぐ 聞こえなくなってしまうんだ
僕の身体は凍り付いて もうすぐ動かなくなってしまう
たったひとつ その真ん中に温かなままの心を保存して
長い長い旅に出る 僕はここに寝転がったままで
いつの日かちゃんと 目覚められますようにって
願いを込めて目を閉じるよ
いつの日か こんな僕でも必要になる時が来るなら
その時は また僕を起こしてくれよって
丸い窓の向こう側に居るであろう 君に言う
僕と同じ姿形をした 君に言う
僕の身体は凍り付いて もうすぐ動かなくなってしまう
たったひとつ その真ん中に温かなままの心を保存して
僕はここに居るよ ずっと生きたまま ]]>
http://po-m.com/forum/showdoc.php?did=311562
自由詩
2015-10-20T20:29:07+09:00
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この川は誰かの涙 止め処なく流れる悲しみ
水面に浮かぶ星屑は 叶わず散った誰かの願い
掬おうしても 指の隙間から逃げてゆくの
彼方の君の笑顔さえ 思い出せそうな綺麗な夜には
心の痛みを歌にして 遠い空へ向けて巻き散らした
船を漕ぐ 向こう岸まで
きっときっと 渡り切ってみせると
約束交わして 過ぎ去った日々
絶えず絶えず 僕は君を目指して
暗闇を泳ぐ 流れ星
この雨は君の涙 止まずに降り続く悲しみ
雲間に隠れた星屑は 叶わず散った僕の願い
強い風が吹いて 壊れてしまった僕の船
ずっとずっと 進んできたけれど
約束残して 消え去った光
いつか叶えと 強く願ってきたのに
向こう岸は 遥か遠く
悲しみは冷たく 沈まぬように水を掻く
それでもそれでも もがき続けるのだ
願いに底は無い 天の川よ
どうかどうか この思いだけでも
君の町に 降り注ぐ星となれ ]]>
http://po-m.com/forum/showdoc.php?did=311520
自由詩
2015-10-19T19:38:25+09:00
-
似たような願い事ばっか おんなじ棚に飾られるなんて
うんざりだって 凡人なりの誇りを掲げても
寝転がって見上げた星空 期待なんてしちゃいないけど
流れた星に向かって 心の中で手を合わせてた
あの日拝んだ流れ星は
きっと君の為のものじゃなかっただけのことさ
誰も彼も笑い飛ばす 君の夢を叶えるのは
流星雨の群れを離れ 闇夜を泳ぐはぐれ星
安売りの感動に群がり おんなじ顔で泣き笑うなんて
出来なくて 誰も聴いちゃいないような歌を歌う
自分という物語には いつだって期待をしていたい
例えばそれが 思わせぶりで終わり続けても
あの日打ち切られた物語
きっとまだ終わってなんかいないだろう
誰も彼も見向きもしない 君の歌う新しい歌も
いつかきっと分かってくれる それがたった一人でも
誰も彼も笑い飛ばす 君の夢を叶えるのは
流星雨の群れを離れ 闇夜を泳ぐ名前の無いはぐれ星 ]]>
http://po-m.com/forum/showdoc.php?did=311476
自由詩
2015-10-18T19:30:07+09:00
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そしてまた君は 飛び立つ宇宙船に手を振って立ち尽くした
また会おうね。って約束も 端から果たせないと諦めてる
そして頭上には 何事もなかったように空っぽが戻ってきて
小さな君を置き去りにして 世界に蓋をして閉じ込めた
さよなら宇宙船 君は地べたを這いずり回っては
どこへも行けない理由を 必死に用意するのさ
いつでもポジティブで元気な 友達をいつも誉めて称えた
君はプラスの影に紛れて マイナスになってかくれんぼ
いつでも勇敢で人気者の 友達がずっと羨ましかった
マイナスばかり群れて 掛けてプラスになれれば世話ないけど
もうダメなんだ。とか 諦めてしまおう。とか
君が君自身を陥れようとする 呪いの言葉たちも
実は君を外の世界へ 解き放ってくれる一番の推進剤
燃やして灰になれば マイナスもプラスも区別はつかないぜ
ここに居たくない。って でも何処へも行けやしない。って
君を押さえつけてた 矛盾という名の重力の反動こそが
君を外の世界へ 解き放ってくれる一番の原動力
空はいつだって開いている 探しに行こうぜ
この広い宇宙でたったひとつだけの
君の名を冠した星に ]]>
http://po-m.com/forum/showdoc.php?did=311421
自由詩
2015-10-17T13:04:41+09:00
-
あれは遠い日のこと 僕らは真夜中に
街を抜け出して 綺麗な海へと出かけた
満天の星空に 僕らただ黙り込んで
何処にも居なくて 誰でもないフリをした
流れ星見つけたよ 指差す暇も無く
生まれた刹那に すぐに消えてった
もう輝かない石ころは 海へと放って
新しい星になった それは誰にも見つけられない
六等星の秘密のポラリス 君だけが位置を知っている
あれは遠い日のこと それぞれの旅に出た
何処にも隠れれず 僕は僕になった
流れ星気付かない 見上げる暇も無い
生まれた意味は すぐに見失うのさ
だからこそ輝くのさ 誰かに見つけてもらいたくって
誰もがきっと彷徨うプラネテス 自分と言う名を与えられて
失った記憶もちゃんと 長い旅を越えて此処にある
六等星の秘密のポラリス 君だけは位置を忘れないで
君だけは位置を忘れないで ]]>
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自由詩
2015-10-16T12:06:09+09:00
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年甲斐もなく夜更かしをして 寝ぼけ眼で
真夜中にやっていた とある映画を見たんだ
汽車にはねられて 死んでしまった青年の死体を
探す冒険に出る 心に穴を抱えた少年四人のお話
僕が子どもの頃に見た映画で 懐かしく見ていたんだ
もう何度も見た映画だから 内容はもう覚えてしまって
次の展開その次の展開 全部先読みすることができるけど
見るたびに感じることが変わってくる 不思議な映画だった
色々なことを思い出す そんな映画を見た子どもの頃
幼い僕たちは 心躍るような冒険に憧れていた
あの頃の僕たちにとっては 全てだった小さな町
心に隙間ができないように いつだって何かを探してた
排水溝のトンネルに 潜り込む冒険がある時流行った
誰が一番奥まで行けるのか その勇敢さを競い合っていた
そしてついに 最奥までたどり着いた勇者が現れて
その勇者はこう言った 「一番奥にアメーバ星人が居た!」と
なんのこっちゃ 嘘だろうって当時の僕は思ったけど
勇気がなくて 結局僕は最奥まで行くことができなくて
確かめることができないまま 冒険は終わりを迎えた
ひょっとしたら本当に居たのかな アメーバ星人は
僕の小さな町には UFOがよく目撃されることで
ちょっとした有名だった そんな時に限って僕たちも
誰の目撃談が一番リアルか 競い合っていたし
誰が言ったか 山の向こうにUFOの秘密基地があるらしかった
誰の冒険が一番勇敢か 誰の話が一番わくわくするか
競う合う中で ランキングをつけられてしまう気がした
ひとつの冒険が終わっても また次の冒険を探した
そうやって繰り返し続けて 気づけば大人になっていた
誰もが旅立った後の 誰もが居なくなった町に
取り残されてしまった いや違う、そうじゃないんだ
自分で残ったんだ 年甲斐もなくそう言い続けている
そうやっていつまでも 何かを待っている人たちがいる
そしていつか気が付くんだ 冒険ってのはつまり
遠くに行くことなんかじゃなく 不思議を探すことでもない
ごくごく繰り返しの毎日でも ありふれた日常に潜んでいる
自分を探すこと つまりその日常そのものなんだと
レールの上を歩いた少年たちは やがてゴールにたどり着いた
その果てで気が付いた答えは 最初とは違っていた
それは期待した答えとは違って なんだったんだって思うけど
それでもちゃんと また歩き出しで家に帰ったんだ
もしも僕たちの冒険も そういうものなのだとしたら
どこかにある本当の答えを 探し続けなければならない
アメーバ星人の真偽を UFO秘密基地の在りかを
本当の自分とは何者なのか 生きる意味とは何なのか
寝ぼけ眼で見ていた 映画はいつしか終わりを迎えた
素敵な歌とともに 冒険は終わったんじゃなくて
きっと四人の少年は また新しい冒険の旅に出たんだ
それはきっとまた別のお話 誰にも知られることはないお話 ]]>
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自由詩
2015-09-27T12:21:24+09:00
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我々、G研究学会、通称G研は、皆さまはもうすでにご承知かと存じますが、皆さまの忌み嫌う生き物である、ゴキブリについて日夜研究しております。言わずもがな、G研の"G"とは、ゴキブリをローマ字表記したその頭文字を表しております。
学会が発足した当初は、"日本ゴキブリ研究学会"を名乗り活動しておりましたが、この名前があまりにストレートすぎた為、気分を害する方が多く居るとのクレームがございまして、学会名の改名に至ったという経緯がありました。
さて、本日のシンポジウムの主題は、【ゴキブリのワープ行動と、その応用の可能性について】でございます。専門的な話に関しては、後の者の発表に任せることとしまして、私は簡単に概要を述べさせていただきたい所存でございます。
ゴキブリが地球上に生まれたのは、今から3億年も前になります。それだけ大昔から存在していたにも関わらず、絶滅することなく存在しているとは、驚異的な生命力と言えます。しかも、あまりその姿形は変わっていない、ということにもまた、驚嘆せざるを得ません。
皆さまも、ご経験お有りかと察しますが、日頃の生活の中で、思わぬところでゴキブリに出くわすことがあります。台所、トイレ、お風呂場、自室など、至るところに、いつの間にやら、どこからともなく出現します。誰もが驚き、気分を害する瞬間だと察します。
さらに、素早い動きの貴奴ら、駆除しようにも、我々はその姿をすぐに見失ってしまいます。まさに、煙を巻いたように、あっという間に消えてしまうのです。
我々は、このような貴奴らの行動の中に、ワープ行動の可能性を見出だすことに成功しました。簡潔に述べますと、ゴキブリは移動手段として、ワープ行動を行っているのです。つまり、瞬間的に、離れた地点を自由に行き来することができるのです。突然どこからともなく現れたり、かと思えば急に居なくなったりする、その実態はワープ行動だったのです。これを我々は、"Gワープ"と名付けました。
ご存じの方もおられるかと存じますが、ゴキブリの生態として、窮地に立たされた時に、そのIQが300を越えることが知られています。このことは、人間のIQの限界値がおよそ160であることを踏まえると、それを遥かに凌駕する、驚異的な数値であることがお分かりになることでしょう。
この辺りは、未だに解明されていない部分も多く、追って研究している次第でございますが、我々の見解は、一時的なIQの爆発的な跳躍が、ゴキブリの脳に何らかの影響を及ぼし、瞬間的にGワープを可能にしているのではないか、というものです。
人間の脳みそは、その10パーセントしか使われていないと言われています。ゴキブリに関しても仮にそうだとするならば、急激なIQの上昇は、その脳のリミッターを外す役割を果たしているのではないかとも、我々は考えております。
ともすると、このGワープの原理が解明されれば、同じ脳をもつ生き物であります、我々人間にも応用できるのではないでしょうか。我々は、その可能性に大いに期待をしつつ、一刻も早い解明を急いでいる所存でございます。
我々は、まず声を大にして言いたい。
Gワープは、あります!
本日は、Gワープに関して、我々の日頃の研究の成果を、余すところなく発表していきます。まずは、貴重なGワープの瞬間を収めた映像を、皆さまにご覧になっていただきます。それでは、前方、大スクリーンにご注目ください。 ]]>
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自由詩
2015-08-28T02:08:11+09:00
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ひとり部屋にうずくまって 灯りという灯りをすべて消すと
明るい世界に すっかり目が慣れていたせいで
その刹那 僕は自分の手のひらの位置すらすぐに見失った
僕はここに居ながらにして 宇宙へと旅に出たのだ
いわゆる本当の僕ってやつは 何処かに置き忘れたっけな
かつて暮らしていたあの街で 雨粒に濡れて震えているか
もしやあの人に預けたまま 返してもらってないのかもしれない
邪険にされてないとよいが 願わくば残っていてほしいが
人は生きているだけで 与えているのだという
ともすれば それは受け取っていることと同義だ
それならば 僕は僕が受け取ったものをどうしたのだろうか
いつかあの海で見上げた夜空 星々は犇めきあって輝いていた
互いに寄り添い合っているように そんな風に見えたけど
その実きっと 星々の間には途方もない隔たりがあって
互いに出会うことなど 以ての他ないことなのだろう
繋がっているように思えて 全く以て浅かったのだ
誰彼の名がゲシュタルト崩壊し始めた そこではじめて気がつく
僕らもあの星と一緒なのかもしれないと
たまらずに僕は暗闇の中を探した
何処かに光はないものか!
ディスプレイに散らばるSNSやブログの中
何処かに光はないものか!
片付かないままの引き出しの中
何処かに光はないものか!
かつて書きなぐった詩集ノートの中
何処かに光はないものか!
何処かに光はないものか!
人は生きているだけで 輝いているものなのだと
ともすれば 僕だって輝いていることと同義だろうか
どんなに与え続けても どんなに失い続けても
決して完全に消えることはないのだ そんな光のことを
僕たちは"心"と呼んだ 生きとし生けるすべてに宿った
途方もなく広い宇宙に浮かぶ 微かだが確かに輝く赤子の星の名だ ]]>
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自由詩
2015-08-25T02:48:08+09:00
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そしてまた君は 飛び立つ宇宙船に手を振って立ち尽くした
また会おうね。って約束も 端から果たせないと諦めてる
そして頭上には 何事もなかったように空っぽが戻ってきて
小さな君を置き去りにして 世界に蓋をして閉じ込めた
さよなら宇宙船 君は地べたを這いずり回っては
どこへも行けない理由を 必死に用意するのさ
いつでもポジティブで元気な 友達をいつも誉めて称えた
君はプラスの影に紛れて マイナスになってかくれんぼ
いつでも勇敢で人気者の 友達がずっと羨ましかった
マイナスばかり群れて 掛けてプラスになれれば世話ないけど
もうダメなんだ。とか 諦めてしまおう。とか
君が君自身を陥れようとする 呪いの言葉たちも
実は君を外の世界へ 解き放ってくれる一番の推進剤
燃やして灰になれば マイナスもプラスも区別はつかないぜ
ここに居たくない。って でも何処へも行けやしない。って
君を押さえつけてた 矛盾という名の重力の反動こそが
君を外の世界へ 解き放ってくれる一番の原動力
空はいつだって開いている 探しに行こうぜ
この広い宇宙でたったひとつだけの
君の名を冠した星に ]]>
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自由詩
2015-08-21T01:35:20+09:00
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ここは終わりと始まりを 繋ぎ合わせる世界
ぽつんと取り残された月が 朝の空に張り付いていた
僕もあれと同じだって 見上げてひとり笑っていた
自分が何処から来て 何処へ向かうのか分からないまま
そうしてたどり着いたのは 存在するはずのない一日
つじつまを合わせるだけの 意味の無い今日だって
確かなことは まだ見ぬ未来へ繋がっているってこと
壊れた時計塔の頂で ひとり街の風景を見下ろして
陽が昇るのを待ち続けた だけど明けることは無かった
時間に置いてゆかれて 何処にも行けなくなっていた
自分が何処から来て 何処へ向かうのか決められないまま
寂しい顔で覗き込んだ 鏡の向こうの本当の顔が言う
大丈夫だよ大丈夫だよ 今に全部元に戻るからって
壊れていた時計の針が 少しずつ音を立てて回りはじめていた
つじつまを合わせるだけの 意味の無い一日が
ずっと繋がっていって どうにか今日にたどり着いた
過去と未来を分かつ隙間に ようやく懸け橋がかかって
長い間立ち止まっていた僕も 日々を超えてゆく
超えてゆく ]]>
http://po-m.com/forum/showdoc.php?did=307595
自由詩
2015-07-01T17:13:35+09:00
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子供の頃の私の口癖は 「テレビの中に入りたい!」だった
華やかな舞台の上で 踊って歌うアイドルに憧れて
親戚の前で物まね 未来のスターの誕生ね!って
皆が褒めてくれた 私はすっかりその気になった
物心がついた頃 私は生まれた街を飛び出して
憧れの都会へと出てきた 小さなアパートが私のお城
演技の稽古に歌のレッスン 空いた時間はアルバイト
くたくたに疲れる毎日 だけど全然苦しくなかった
いつか叶う夢の為なんだもの 何にも苦しくなんてない
私は未来のスターなんだ その言葉だけを信じてた
今日もオーディションに落ちた バイト中に電話をもらった
でも悲しんでもいられない 次があるからって言い聞かす
だけども次もダメだった その次もその次もずっとダメだった
重なってゆく落選通知に 次第に笑顔が消えていった
私は選ばれない人間? 未来のスターじゃなかったんだ
途方に暮れて歩いていた 都会の夜はいつまでも明るい
歓楽街の入口で どこかのエライ人に声をかけられた
俗に言うスカウトだった 選ばれたことが嬉しくて
私はカメラの前で裸になり なまめかしいポーズをとる
一斉にフラッシュが焚かれ 私の姿が切り取られる
エライ人は言う 「みんなやっていることなんだよ」って
いつか叶う夢の為に いつだって信じようとしてた
私の体に宿っている この心は一体誰のもの?
知らない間に 違う誰かにすり変わっていない?
手首を切って確かめた 一応まだ血は赤かった
私は間違っていない 間違っていないんだって
誰か言って。
ねぇ、誰か言って。
ビデオカメラの前で裸になり 裸の男に跨がって
泣き声みたいに喘ぎながら 腰を振り続けた
テレビの前で男達は いっせーのででズボン下ろす
私は何度も言い聞かす いつまでも同じ言葉を
いつか叶う夢のためいつか叶うユメのため
いつか叶うユメのタメいつかカナうユメのタメ
イつかカナうユメのタメイツかカナうユメノタメ
イツかカナウユメノタメ…
「イツカカナウユメノタメ?」
今日もひとり目を閉じる 小さなお城のベッドに倒れ込み
頭の中で響く歌 なんだか大事なものだった気がする
だけどどんな名前だったか もうなんにも思い出せない
もう眠らなくちゃ明日も 私はテレビの中に入りに行く ]]>
http://po-m.com/forum/showdoc.php?did=305665
自由詩
2015-05-08T22:12:44+09:00
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舞い散った桜の花びらは
行き交う人込みの足元に降り積もって
ぐちゃぐちゃに踏んづけられて
きっとその内忘れ去られるんだろう
いつかの四月に嘘をついた
大馬鹿者は無理だと笑われ続けて
今じゃ誰も覚えていないのに
平気な顔してまた同じことを言い続ける
ようやく果てにたどり着き
そこで死んでしまうつもりだった
冒険者は失望した
ある時ついに知ってしまったんだよ
この世界は真ん丸で
どこまで行っても果てなどないことを
この場所はいつだって
途中の風景にしか過ぎないことを
日々は進んでいるんじゃなくて
きっと巡っているものなんだろう
同じ風の匂いがした気がした
ここにあるのはあの日と同じ空気だろうか
時を越えて歩いてきたはずが
私はかつての私が放った言葉に出会った
そうやって何度もここに戻ってきては
同じ言葉に何度も出会うだろう
花散らしの雨が降り注いで
踏んづけられた桜の花びらは
細く頼りない川に流れて
またちゃんと新しい旅に出たんだ
私はその花びらの一片に
こっそりと小さな願い事を乗っけて
沈まずちゃんと最後の海まで
届きますようにと見送った ]]>
http://po-m.com/forum/showdoc.php?did=304473
自由詩
2015-04-04T13:12:24+09:00
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羊が1匹 最初の一匹が囲いの中へと
羊が2匹 友達増えたねよかったね
羊が3匹 仲良く走り回っている
羊が4匹 むしゃむしゃ草を食べている
羊が10匹 風が草原を駆け抜けると
羊が11匹 声を合わせて鳴いている
羊が12匹 頭の中の長閑な風景
羊が13匹 いいぞ順調だ眠れそうだ
羊が50匹 そう言えばなぜ羊なのか
羊が51匹 馬でも牛でもいいんじゃないか
羊が52匹 なんなら豚でもいい
羊が53匹 やばい何か気になってきた
羊が100匹 この辺までくれば
羊が101匹 2匹ずつぐらい一辺に
羊が102匹 数えてもばれないんじゃね?
羊が103匹 …いやいやズルはよくないな
羊が1000匹 囲いの中にぎゅうぎゅうに
羊が1001匹 押し込められているよ
羊が1002匹 それもこれも全部
羊が1003匹 お前のせいだと騒ぎ出した
羊が2000匹 そしてついに反乱が起きた
羊が2001匹 一斉に暴れ始めると
羊が2002匹 柵がメキメキと音を立てて
羊が2003匹 ついに崩壊した
羊たちは一斉に逃げ出した
我先に広い大地へと駆け出して
自由だ!と声高々に鳴いた
数合わせになるだけの人生はごめんだ!
失敗だ
檻が小さかったか
今度はもう少し広げて作ろう
なんなら頑丈な作りにしよう
羊が1匹 最初の一匹が囲いの中へと
羊が2匹 友達増えたねよかったね
羊が3匹 仲良く走り回っている
羊が4匹 むしゃむしゃ草を食べている
羊が10匹 風が草原を駆け抜けると
羊が11匹 声を合わせて鳴いている
羊が12匹 頭の中の長閑な風景
羊が13匹 いいぞ順調だ眠れそうだ… ]]>
http://po-m.com/forum/showdoc.php?did=301797
自由詩
2015-01-23T01:13:48+09:00
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こっそり覗いた穴の向こうには 真っ青な空があった
不完全な僕は 実体もないまま殻に閉じ込もって
いつまでも眺めていた もしも願いが叶うのならば
いつかいつの日か その空をはばたく自分をイメージして
それでも僕にも分かっていない 僕は何になるのだろう
少しだけ開いた隙間の向こうには 綺麗に澄んだ水があった
未完成な僕は 実体もないまま殻に閉じ込もって
いつまでも眺めていた もしも願いが叶うのならば
いつかいつの日か その水を泳ぐ自分をイメージして
それでも僕にも分かっていない 僕は何になるのだろう
きっと世界中の本を探しても どこにも載っていない
見たこともない生き物に 僕はいつか生まれ変わるんだ
それを楽しみと思わないで 何のために生きていくんだい?
悪魔だって天使だって 僕はその時の僕を愛してみたいんだ
どのくらい眠り続けても 繰り返し見る夢は覚めない
僕の体はやがて ドロドロに溶けて液体になった
たった一つの心だけを 必死に守り続けている
いつかいつの日か 新しい自分に姿を変える時まで
それでも僕にも分かっていない 僕は何になるのだろう
取り残されて蛹になって 張り付いたまま夢を見る
見たこともない生き物に 僕はいつか生まれ変わるんだ
それを楽しみと思わないで 何のために生きていくんだい?
怪物だってヒーローだって 僕はその時の僕を愛してみたいんだ
望んだ姿に生まれ変われなくても
僕はその時の僕を愛してみたいんだ ]]>
http://po-m.com/forum/showdoc.php?did=301419
自由詩
2015-01-12T16:20:20+09:00
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名前を与えよう 大きなお世話だと思うけど
体中レッテルだらけにして 放り出してしまえ
まるで見世物小屋みたいに 人々が集まって
君は君であることを 演じざるを得なくなった
誰かが幸せそうに いつも笑っていた
これで良いんだって 君は思うようになった
誰かに望まれて 生まれてきたんだよって
細胞の一つ一つに 丁寧に擦り込まれてゆく
名前を与えよう それがこの世で生きる決まりだから
過程は省略して 君が君で在るのだという
答えだけ与えて ほったらかしにしてしまえ
果てしない証明に 君自身が悩むシーンを並べると
それは長い映画になった 人生という題名の
名前を与えよう
ブーバは真ん丸い方
名前を与えよう
キキは尖っている方 ]]>
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自由詩
2015-01-11T16:07:01+09:00
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誰かの笑い声が聞こえる 僕は壇上に立ちつくしたまんま
何か気の利いたことを 言わなきゃって心の中を探すけど
そんなもの最初っからなかったんだ 分かっていたんだ
僕の右往左往する様を見て また誰かの笑い声が響いた
そしてまたいつも通り 力なくバスのシートに体を預けて
左隣の一人分の空席を ぼんやりと眺めながら思う
今はあの時吐いた言葉さえ 夢だったらと願ってしまっている
あんなに長く悩みぬいて 強く守っていた言葉だったのに
何にも嫌いになんかなっていないのに まるでそんな風に
世界は僕を仕立て上げようとする 黒か白かなんて
そんな極端な答えしか 用意することしかできない僕は
自分を否定してしまうことでしか 前に進めないみたいだ
そしてまたいつも通り 力なくバスのシートに倒れこんだ
君が隣にいたのなら どんなこと話すんだろうなって
誰かが悪いわけじゃなくて 狂っているのはきっと世界だ
だけどそんな世界で僕は生きている ならば全てを僕が引き受けるよ
誰かの励ましなんて聞きたくなくて
僕は耳をふさいでしまった
そしたら何にも聞こえなくなってしまったんだ
君の声がどんなだったっけって
何も聞こえなくなった空席を ぼんやりと眺めながら思う
今はあの時吐いた言葉さえ 忘れ去ってしまえたらと願っている
あんなに長く悩みぬいて 強く守っていた言葉だったのに
とても素敵な言葉だったのに 言わなきゃよかったなって
そんな風に思ってしまう 自分が大嫌いなんだ ]]>
http://po-m.com/forum/showdoc.php?did=298525
自由詩
2014-10-31T22:54:41+09:00