http://po-m.com/forum/
ja
Poems list
2024-03-29T08:19:43+09:00
-
白い皿は白く
深緑の皿は深く深く果てしなく緑に洗えとも言われた
少しも汚れていない水盤のような皿たちに
水流をあてると
どの皿も垂直にしか洗えず水となり消えしまう
君明日から来なくていいよ
と言われる ]]>
http://po-m.com/forum/showdoc.php?did=382304
自由詩
2024-03-19T00:58:06+09:00
-
車掌以外は観光客で皆
酸素マスクをつけている
空気が薄いので皆
紙のようにペラペラになる
喜びも哀しみも薄くなるので晴れ晴れとする
風が吹けば
空高く飛ばされて戻って来ない
車掌はなかなか点かないパイプに夢中で
いつものように気づかない ]]>
http://po-m.com/forum/showdoc.php?did=382303
自由詩
2024-03-19T00:54:06+09:00
-
「しじまです」という自己紹介の後の沈黙に慣れている顔だった
この名は代々受け継がれていると言った
姓ではなく名の力を継ぐのだと
数年後
高名な画家が彼女をモデルに連作を発表した
どの作品も巨大な紙に木炭を執拗に塗り込め
一見何もない漆黒の画面だが
じっと見つめていると
果てしなく広い闇をしんしんと覗き込んでいる
しじまのか細い後ろ姿があらわれるのだった ]]>
http://po-m.com/forum/showdoc.php?did=382302
自由詩
2024-03-19T00:44:00+09:00
-
相談がある、と言われたが小学生らしき君は誰だっけ
階段の上では少女が手をふり
暖をとりましょうと眠たい声で言う
だんだん暮れていく景色を背負い、障子に穴をあけて
ネコちゃんは花壇が好きじゃないんでしょう?
奥様と旦那さまのさまざまなショウが催されたこのお屋敷には
砲弾がしまってあるお部屋と消火器がしまってあるお部屋が五つずつ
講談師と並んで紹介状を握りしめたハクビシンの後ろ姿
断崖の女王なんてすごい名前の植物があるらしいとゲンノショウコは怯え
暖色と寒色の好き嫌いについてしょうもない議論がまた始まる ]]>
http://po-m.com/forum/showdoc.php?did=380814
自由詩
2023-12-21T11:14:10+09:00
-
結婚してやってもいいけどなどと言ってきた
でも待機児童問題が、と言うと
ガアガア鳴き始めたので
彼には彼の人生をお尻プリプリ歩んでもらう
瓶ビールに栓抜きがないので聞くと
店員さんがポカンとしている
宇宙のはじっこに来てしまったみたいに
センヌキって何ですか?って
何だろうね?
地球にある物だけど知らなかったら存在しないですよね
ようこそと言われて気づいたのは
全く歓迎されてないし
認識もされてないし
識別すら
ましてや間柄など
流しの
内角の和が180度コーナーを綺麗にしていると
まるで何もかもが純粋で
穢れなく
行き届いていて
すっきりわかりやすく
悩みも苦しみも悲しみもなく
会う人みんなお友達
そんな誤魔化しパーフェクトな気持ちになってくる
誰だろう時たま
全然知らない人の名前が浮かぶけども
前世とか宇宙の電波とか別次元とかでなく
完全なる「誰か」がこの世にいるんじゃないかと
そういう誰かになれると思う
誰だろうって時々気にされながらも
一生会うことはないっていう存在
じゃあ今から、この詩を読んでいるそこの……
あなた!あなたです
あなたを、
その誰かに任命します。
だって読んでくれてうれしいから!
ありがとうございます
一生会えない私たちだけど
きっといい関係で
時々は笑顔で思い出しますし
いい事がありますようにと祈ります
お近づきのしるしに近況を述べますね
昨日
五円で買ったスーパーの
せっかくのビニール袋が破れてきて
歩いているうちにどんどん
どんどん悲しくなってきて
お城がたつくらいでした ]]>
http://po-m.com/forum/showdoc.php?did=379333
自由詩
2023-09-22T18:40:30+09:00
-
壮観であるとおっしゃった
かの君
ウツボ座の椅子は非常に座り心地が悪く
座り直すたびにずり落ちる王冠はまるで
重力波へくちばしをくりかえし
くりかえし突っ込む{ルビ閃光鳥=せんこうちょう}のようだと
言わねばなるまい
暇に任せてウシロイキムシを眺めていると
同化して自分が
後ろ向きに移動している気分になる
これをするとしないとでは
その後の人生が暗黒物質と{ルビ白色矮星=はくしょくわいせい}くらいの違いがある
立派なローブを羽織り
立ち上がりながら転び
見事に受け身を取った
王冠は無音響と共にひとりでに砕け
きらめき浮散する{ルビ金銀宝飾細工=きんぎんほうしょくざいく}の破片
無重力下でのそれらは優美な舞踏であったと
お褒めのお言葉
ありがたき幸せ
よい声で鳴く時空カナリアを千羽も飼う狂気
遺言を読み違えただけと
後に知る
帝王学など役には立たず
あまり喋るなとは言われた
ひと言で千の首が飛ぶのだから
万の星が逆光するのだから
億の{ルビ宙=そら}が{ルビ舷退=げんたい}するのだから
審問官が無言のうちに述べる
ともかく当面は
ココナッペ銀河から流れてくるあの
清らかな星水が
王宮の屋根より高いところにあるという事実を
克服せねばならない ]]>
http://po-m.com/forum/showdoc.php?did=377900
自由詩
2023-06-22T17:22:00+09:00
-
この気持ちは15年前、偶然見つけた昔の現代詩手帖の投稿欄にあった詩「K」を読んだ時からずっと変わらず、度合いは違えども読むたびに、もうだめだ〜!!と頭を抱えて転げ回りながら叫びたくなってしまいます。
何がだめなのか?自分には「体中の骨の林に春がきて」*1や「先生は陶器の中の凍る火のように鳴られた」*2「わたしの本当の母が美しい逆さに立っている」*3などという表現は思いつかないし、捻り出す事もできない、という、詩を書く者としての才能の無さ加減がわかってしまう絶望。やばい、書き写すだけで手が震える……同時に「こんな素晴らしい書き手がいるなら日本の詩は安泰ですね」という安心の感情が湧き起こり。それ以上に、この世には自分の知っている哀しみよりももっと哀しいこと、もっと美しいこと、もっと切ないこと、もっと苦しいことがあるという事実を予感というか体感?させるから……なのかな???あと、文体がすごく客観的で、外国文学っぽいんです。人物の誰にも贔屓しないし、心情をあんまり書かない。私好み。
うーん山本さんの詩について書こうとするといつも書いてるそばからこれじゃないなと思ってしまい、結局書けない……頑張って書くけども。なんでしょう、私は文字を読むと映像が次々に浮かぶのですが、その映像がことごとく光ってる……光ってる?それが光ってるというよりは、鏡が光を反射していて、鏡自体ははっきり見えてなくて、ただ、眩しい、みたいな。やはりこの、映像がどんどん見える、映像的というのが、すごいのかしら。描写力というより、比喩や暗喩や象徴ですよね。リズムもいいのかな。そういうレトリックは、作者の身体感覚を読者がなぞるようになってる共感装置なわけですが、いいように翻弄されるという事なのかも。ダンスしてるようで、どっちかというと、両手を持ってグルグル振り回されてるような感覚。これって私だけなのかな?他の人にも味わってもらいたいけど、なんて言ったらいいのか分からないし、感覚は人それぞれだからな……。ていうかもう、題名からしてハンパないですよ。「レモンと光るパン」*4レモンと 光る パン ですよ!?こんな題名誰が思いつく?「獄舎冷ゆ」*5冷たい!果てしなく冷たい!なんて寒いんだ!「花・深い日傘の」*6深い日傘の……誰?不穏!不穏過ぎて読むのが怖い!このように、題名からして取り乱してしまうので……信者としてあまねく布教活動をせねばならないのですが、どうしても山本作品を冷静に語る事ができない……どうすればいいのでしょうか?と思っていたら、新進気鋭の文芸投稿誌「文芸エム」主催・編集の原浩一郎氏が、2022年の8号から山本さんの作品を巻頭に載せていらっしゃるではありませんか!良かった……!嬉しい……!全世界が読んで……!しかも、読んだことない山本さんの詩……!原さん、ありがとうございます!
自分の不甲斐なさを棚に上げ、感謝しながら終わります。(山本さんの全集、作りたいな~)
ちなみに、山本さんの作品は『青銅の蛇』砂子屋書房1993年、『杏』私家版2014年、『杏Ⅱ花・深い日傘の』私家版2021年、文芸投稿誌「文芸エム8号〜11号」HAO出版局2022、2023年で読むことができます。
*1詩集『青銅の蛇』砂子屋書房1993 「花の奥から」
*2同上「鳴る人」
*4同上
* 5『杏』私家版2014
*6 『杏Ⅱ花・深い日傘の』私家版2021
*3 文芸投稿誌「文芸エム10号」「少女・初夏」(文芸エムでは山本英子ではなく橋本綾)
さらに ちなみに……
「文芸エム」ではなんと、11号より拙作イラストみたいな詩みたいな作品を載せていただいており、長年の夢だった山本さんと詩誌などでご一緒できたらなーが叶い、喜びのあまり気絶しそうだったです。
山本さんは橋本綾名義でエム誌上で投稿詩作品の評も書いていらっしゃるのですが、それがまた詩のようで、「山本さんの新作……!」と、信者として喜びにうち震えております。 ]]>
http://po-m.com/forum/showdoc.php?did=377803
散文(批評随筆小説等)
2023-06-14T16:34:24+09:00
-
十字路で迷いながらも行く文字の茂る荒野
周回遅れでも楽しく作っていく余白の白さ
年がら年中字ばかり追ってて楽しい?うん
おばかだから変な詩ばかり書くんだ?ああ
めの中のめらめら炎と書く側から消し去り
でたらめの芽がたびたび咲いて驚くのだが
ともだちは旅立ち寂しそうなここで書くと
うそが本当になるんだよと嬉しそうに言う ]]>
http://po-m.com/forum/showdoc.php?did=376717
自由詩
2023-04-16T17:01:11+09:00
-
狭くて暗い
空飛ぶ輸送機に乗って
発着場まで
みんな順番待ち
大人しくして黙って
雪の降る静かな朝に
古い鞄に必要なものだけ入れて
お弁当は少し
おやつは沢山
あげたい子がいるから
仲良くしたいから
ラッパに似た音色で
着陸の合図
見えるのは白い雪のうえ青白い灯り
白い服の彼ら
大人しくして黙って
私たちの顔も見ない
怖がっているんだと言っていた
でも仲良くはしたいな
おやつ美味しいからあげたい
とても美味しいから
鼻がむずむずする匂い
雪の綺麗な冷たい匂い
彼らがまとうのはそういうもの
冷たくて綺麗ででもそれだけ
好きなひとはいるのですか
最後に会いたいひとは誰ですか
聞きたいけど
まだそんなに仲良くはない
どうすれば怖がらずに話してもらえるかな
きっと無理だよね
恐怖は自分のこころが作る
大切なものだから
夜明け前なのでおぼつかなく
雪を踏み前を行く彼らの
安寧を祈ると
やはり怯えてしまうので
こころの中だけのことにする
もうすぐです、と言われてみると
薄暗い中心に大きな穴があり
黒々とした口のようだけれど
かまわず降りて行き
ふりあおぐと
やはり彼らは驚き
畏れと羨望が混じった
恍惚とした顔で私たちを見下ろし
しんしんと頭をたれ
あるいはうなだれて
その場から足早に立ち去る
夜が明ければ
穴の中はこんなにも美しいのに
それを彼らはけして知ることがない ]]>
http://po-m.com/forum/showdoc.php?did=374780
自由詩
2022-12-22T23:44:50+09:00
-
この耳を大切にしたい
けれども声はすぐに去っていった
彼方へ、とあの人も言った
あの声をそっと眺めていたい
けれどももうここにはなく
日々打ち上げられ花開き、瞬く間に散る声たち
愛おしくても眺めたり束ねたりはできない
ボイスレコーダーには口も舌も体温もないのだから
自らを押し込めている身体から唯一
自由にどこへでも行けるのは声だけ
空気を震わせた波は伝わるだろう土星の裏側にも
熱く
燃えているのは心だったけれども
言葉はじゅうぶんに冷えていた
冷淡なのとは違う
何も余計なものを乗せない注意深さがそうしている
友よ、との呼びかけがここにあった
寒さにかじかむ指と共に
暑さに憂える瞳と共に
危ない淵に立っている
沈黙すれば動き出すものが必ずある
一度も呼ぶことのない名は
めまいするほどあり
めくるめくのは月日ではなく声自身だ
僕と君の名もありふれてはいるが呼ぶ者はさほどいない
ささくれた毎日に置かれる友の
友よ、と言ったその声は
今は彼方
激しく動いている
話す言葉がとめどなく溢れてあちこちに飛び火
火傷や痛みがあらたまって言う
君はまだここにあっていい
明日も
見えるはずのない音と音が
ぶつかって火花を散らしたから
底がやけに明るいのだという
ふつふつと湧く泉に顔をつけてついでに喉を鳴らす
冷たい、聞こえる、身体の中の声は声を連れて来る、
言葉が言葉を連れて来るように
この耳を大切にする
そっと手を添えて漏らさないように
そういう生活の仕方があるはずだ
いい時間だ、出発する、と君やあの人(たち)は言った
もうここには来られない
お別れの握手のかわりに
友よ、と言う声がする
また再び会う日まで
とその声は言った
振り返ると彼方に続く道があり
声は僕(たち)の周りをひとなでして去って行った ]]>
http://po-m.com/forum/showdoc.php?did=373671
自由詩
2022-10-26T16:47:05+09:00
-
文字を電子書籍向けに変換したりとか色々めんどくさそうと思っていたのですが、そんなことなく、あっけなくできました。
やり方を記録しておこうと思います。
用意するもの
・WindowsのパソコンとWordソフト。それでなくても作れるっぽいけど、うちにこれしかないし、これが一番簡単らしい。AmazonのガイドもWordありきでやっている。
・中身の詩と表紙。
早速中身を作ります!
1,
表題のページを頭に作ります。本の題名を記入し選択したら、「スタイル」→「表題」をクリック。書式は「表題」を選択して右クリックしたら変えられます。
入れたい詩をどんどん入れていく。順番は後で変えられます。字のフォントや大きさは気にしなくてよい。読む媒体や、読者の設定により、フォントや大きさ、縦書き横書きすら読者側の操作で変わってしまうので。
入れるときは、詩と詩の間はページ区切りしておく。ページ区切りしないと、全部つながって表示され、ページの頭に題名が来ない。
ちなみに、後述の「見出し」というのを題名のところに設定するのが必須なのですが、ページ区切りすると「見出し」の前に1行あいてしまいます。なので、ページ区切りする際は「レイアウト」→「段落」の右端をクリックすると設定が出るから「改ページと改行」で「改ページ時1行残して段落を区切らない」にチェックを入れます。
2,Wordに目次を作成させる
電子書籍にはページ番号がないので(読者の好みにより1ページ内の表示文字数が変わり、全体のページ数が変わるから)
読みたいところに飛べる目次のページを必ず作らないといけません。
まず、「参考資料」→「目次の作成」というのがあるので、目次1をクリックします。すると表題ページの次に目次ページが挿入されるはず。(見出し設定してないとまだ白紙)
このままだとページ番号が記入されてしまうので、「目次」→下の方に「ユーザー設定の目次」→「ページ番号を表示する」のチェックを外してオフにします。あと、目次作ると本文の題名横に黒点がつくのですが、Word内だけの編集記号で、実際は反映されないので気にしなくてよいです。
次に、入れといた詩の題名だけをカーソルで選んでから「スタイル」→「見出し1」をクリックすると、作った目次のページに詩の題名が表示されます。「見出し1」は論文でいう第一章で、詩集の場合は題名を全部第一章にする感じです。あ、Wordの表示設定を「表示」→「ナビゲーションウィンドウ」にしておくと左側に目次のページが表示されて便利です。
見出しの大きさやフォントは、「ホーム」→「スタイル」→「見出し1」を選択して右クリックすると、「変更」というのが出るので、そこで変更し、「自動的に更新する」にチェックを入れるとすると、全部の見出しの書式が統一・変更されます。
見出しはすごく便利で、詩の並び順を変えたい時はナビゲーションウィンドウの目次のところで詩の題名を選んでドラックすれば、好きなところに移動できます。
*目次は自動的には更新されなくて(なんで?)ある程度進んだら「参考資料」の左の方で「目次の更新」をクリックします。
目次の作り方はKDPのマニュアルにも詳しくやり方が書いてあります。
3.奥付を書く
奥付には書名、著者名、出版年月日、©2022ふるる(←これは全世界共通の、著作権は私にあるよっていうマーク。コピーライトって入力すると、©のマークが出てきます)を書きます。本だと出版社も入れるけど、KDPはアマゾンと分かり切ってるからね。
4.表紙を用意する
お好みで、文字だけでもいいし、自分で撮った写真や絵やフリーの素材を使っても。大きさは2560×1600ピクセルで50MB以下です。
解像度は72dpi。だとなんかぼけぼけだったから私は350にしました。dpiはドットの粗さの指標で、数値が大きいほどなめらかでぼけてない。パソコンなどの画面ではあまり関係なくて、印刷の時大事な数値です。どこで数値を変えるのか?保存する時に聞かれるはず。画像はtiffかjpg形式でアップします。
(ペーパーバックという、実際印刷するサービスもあり、その場合表紙はPDF形式でアップするんだけど、WordでもPDFできるらしいけど、大きさの設定が本の厚みによって変わるのでめんどそう……)
中身を作ったら、チェックと出版手続きです。
5.ちゃんと表示されるかチェックする
KDPビューワーという便利ソフトをダウンロードして、そこにWordのデータを入れると、目次クリックで題名に飛べるか、どんなふうに見えるか表示されます。表示形式はJAPANの場合は右開き(縦書き)か左開き(横書き)か設定します。
改ページがちゃんとなってないところが結構ありました……
チェックは、KDPの出版手続きの途中でもできるところがあります。
6.KDPにログインして、指示通りに色々記入したりチェック入れたりして進んでいくと、出版できます。不備があると、ちゃんと指摘してくれる。
目次がありませんと言われたので、指示通りに作り直したら大丈夫でした。ISBNという本の国際管理販売番号も聞かれるけど、Amazonだけで売るなら独自の管理番号であるASIN (Amazon Standard Identification Number) が割り当てられるので気にしなくてよいです。
ロイヤリティーは30%と70パーセントがあり、70%だとAmazonでの独占販売ということになるっぽい。
振込先を入力するところがあるので、そこは本名で入力します。5円とかでも振り込まれるっぽい。
以上です。文章だと長いから難しい感じに見えるかもですが、慣れれば簡単です。
作ってみたものです。↓
『さみしさで貧血』話者が少年のものを集めました。書き下ろし4編。
https://www.amazon.co.jp/%E3%81%95%E3%81%BF%E3%81%97%E3%81%95%E3%81%A7%E8%B2%A7%E8%A1%80-%E8%A9%A9%E9%9B%86-%E3%81%B5%E3%82%8B%E3%82%8B-ebook/dp/B0BHWY6M36#:~:text=%E8%91%97
『ベストオブにんじん色』ちょっと不思議テイストのものを集めました。書き下ろし4編。
https://www.amazon.co.jp/%E3%83%99%E3%82%B9%E3%83%88%E3%82%AA%E3%83%96%E3%81%AB%E3%82%93%E3%81%98%E3%82%93%E8%89%B2-%E8%A9%A9%E9%9B%86-%E3%81%B5%E3%82%8B%E3%82%8B-ebook/dp/B0BJ34RV3V
『遠くにいる』恋愛詩っぽいものを集めました。書き下ろし1編。
https://www.amazon.co.jp/dp/B0BKJKSD49
『彼女は一冊の詩集を抱えて』抒情詩っていうか心象風景、抒景詩たちです。
書き下ろし2編。
https://www.amazon.co.jp/dp/B0BMLKRD2V
『書くことを恐れてはいけないと誰かが言った』暗めで真面目ないかにも詩っぽい詩を集めました。書き下ろし4編。
https://www.amazon.co.jp/%E6%9B%B8%E3%81%8F%E3%81%93%E3%81%A8%E3%82%92%E6%81%90%E3%82%8C%E3%81%A6%E3%81%AF%E3%81%84%E3%81%91%E3%81%AA%E3%81%84%E3%81%A8%E8%AA%B0%E3%81%8B%E3%81%8C%E8%A8%80%E3%81%A3%E3%81%9F-%E3%81%B5%E3%82%8B%E3%82%8B-ebook/dp/B0BN96CGBW
大昔に書いた詩を読み返すのが面白かったので、皆さんも是非作ってみてください。 ]]>
http://po-m.com/forum/showdoc.php?did=373670
散文(批評随筆小説等)
2022-10-26T16:25:14+09:00
-
シロップロックアップサイドで会う
こめかみ
みだりに髪
かみしめる一言
会いたかった……
すうーっと楽になる午後だ
この緑色したミントの束で叩けば
色んな音がしてどんどん眠れる
うなじの白さ
シロナガスクジラが波の間にまに
もうじき来て
お迎えの時間
また明日
大好きな先生に力いっぱい手を振る
ふるふる
小雨も落ち着いて
気になる髪型をさがす旅
たびたび会うけれど
全然関係ないひとと
いつか
とびきりの笑顔で
待ち合わせ
いいよ
君は
つねに自由だよ
だから
だからこそ
会いたいんだよ
ここには5分遅れで来るといい
そうここは
いつも晴れでたのしい
シロップロックアップサイド ]]>
http://po-m.com/forum/showdoc.php?did=372690
自由詩
2022-09-03T18:30:12+09:00
-
知る機会は色々あったのだが
誰かが呼びかけるのを
耳にしてもすぐ忘れて
次があるしと思っていたが
次はなかった
寡黙なその人は昏い目をしていたから
好きになった
喋らないから黙々と作業できるし
目を伏せがちだから話しかける必要もない
いつもその人の事を考えた
新しい知識を得ると
その人は知っているだろうかと考え
古い物を捨てると
その人には必要だったかもと考える
でも考えても
僕には分からなかった
来月は別のとこに行くんだって?
と話しかけた人がいて
その人は頷いた
お世話になりましたと頭を下げた
僕に向かって
昏い声で
もう終わりましたから
とも言った
程なくして僕がいた作業所は閉鎖され
長年悩まされていた頭痛が治り
行方不明の父がぼんやり帰って来た
恐ろしくて越えられなかった町はずれの川を
難なく越えられるようになっていた
名を知らないままいなくなったあの人は
祓うために来たのかもしれないが
僕には
分からなかった ]]>
http://po-m.com/forum/showdoc.php?did=372493
自由詩
2022-08-24T13:43:05+09:00
-
色した指先で
鍵盤を健気に押して音楽
空は明け方のおおらかさ
赤ん坊の鼻息がぷうぷう
一緒に朝食
きゅうりってこんなに薄く切れるんだね
とあなたが感動している
ことに感動
いつか
水の上を歩ける靴が発明されたら
赤道沿いを散歩しましょう
日傘持って
手をつないで
それはどんな音楽なの
人魚のアリア
泡のところはぷくぷく
地球はどんな歌が好きかな
青空にチューニングを合わせてね
波とハミング
風のハーモニー
流れ着いたガラス瓶が砂浜にたくさん
ひとつひとつにラブレターが入っていて
君の分もある可能性
あるところに
はちみつの大好きなお姫様がいて
ありとあらゆる花で
ありとあらゆるはちみちを作らせて
ついには
深海に花を植えてはちみつを作らせた
海色のはちみつ
甘くてしょっぱい
それはまるで初めての
それはどんな音楽なの
はちみつのアリア
はちのところはぶんぶん
原子はこの世にたった一粒で
過去と未来を高速で行き来しているので沢山に見える
に賛成
音楽って終わると急に静かになってしまうんだね
一粒は嫌だから二粒にしない?
それから二人はずっと
何不自由なく暮らしました ]]>
http://po-m.com/forum/showdoc.php?did=371598
自由詩
2022-06-30T17:25:34+09:00
-
渡し守、渡し船、何度も来ては
肺に入る宝石、出る水鳥、キキキと鳴いて
じっと待っている足たち、大人しくして、子どもらしくあしらって
暮らしやすい水面、森は遥かに、音、おと、おととと、
出て行く島、帰ってくる島、またいずこへ、耳には手を添えて
花の音、唇の動き、紅い
波が揺れる、震えた瞳の奥の原っぱ、眠る、空と人
人の住むところ、住めないところ、それでもあるところ、
隅々まで住む、ここからも分かって、
背中の骨、歯の光、まつ毛落ちる音
ああ聞いている、見ている、見られている、
うちがわそとがわまんなかがわ
分かって、分からない、分つ、連なりを断ち、
また、くっついて、広がる、広がりの彼方
そしてみな穏やかな顔で、
パーティーはお開き/続いて ]]>
http://po-m.com/forum/showdoc.php?did=371369
自由詩
2022-06-19T10:18:12+09:00
-
それでもそっと覗いて見ていた
あなたと私
繋がらないまま黙っていた
想像していたよりも良かった
でも と言い淀んで
私とあなた
すぐに来るからねとうなずいて
何年もたって分かった
約束は果たされない
疼きはおさまらない
紙の飛行機が青空に映えて
それだけが綺麗に目に残った
サイカチの枝を折って
手渡した
あなたと私
仲良くするんですよと告げられた
分からないけれど多分そうする
それしか道がないのなら仕方がないし
他の道があっても多分選ばない
どうぞと言われて座ったけれど
むずむずする席だった
咳払いを一つしてくれたのは救い
私とあなた
ここから見える星はどれも冷たそうで
やはり寄り添うのが正解
何より
紙の飛行機を飛ばせるのはもう二人だけ
勇気を出したい時は合図すればよかった
席を立ったのは同時で
逃げるのかと問われてそうですと答えた
あなたと私
水辺で
月と星が揺れている ]]>
http://po-m.com/forum/showdoc.php?did=371362
自由詩
2022-06-18T21:51:17+09:00
-
王位を継承したいと言
ころぶ子どもたちの足をまたはらう稲穂
うその曠野を食べなければならない
立ち入り禁止の看板にな
必ずや勝ってみせると言って引
だれの予言なのか早く逃げた忘れたよあの人の名
かれていく花の中ブタは下半身の麻痺
交通整理をしなければ通れないゆ
お互いに突然のことで驚愕のい
めのなかに水音がたたえられているのに干あがる湯
かすみで何もかも見えなかった海の境界
飛べないミツバチの黄色いかな
捨てた、うるさすぎる飛ぶ、群れるよ
しみの濃いカーテン膨れてたくらみの否
しきりに雨の降る森はがいじめする夜
あふれすずやかに鐘、ただ響きわ
こずるいのは誰だ赤い靴をな
たりないはずの物を探しているうち消えうせた輪
げてものを食う口を延々と見せる女
遊んでばかりいて馬の世話やらずにし
また光る画面に泳ぎつついきつもどり
まいこんだ歌と足と花びらが翻弄される嵐
つかんだこの手を二度と離さないと誓ってばかり ]]>
http://po-m.com/forum/showdoc.php?did=371299
自由詩
2022-06-14T09:01:39+09:00
-
新しい鳥が生まれる
生まれながらにして重要
で不確かな自由を継承
ピカピカの街の看板に降り立つ
翼で指図する
お前はあっちでお前はあそこ
立っていればそのうち分かる
役目は俺を満足させることだ
くちばしを磨いで待つ
あの啓示やこのメッセージ
通話アプリで簡潔に
まだ早い、早すぎる、いや遅すぎて耐えられない
椅子でドアを殴っていると
ドアが勝手に開いてみんな逃げる
残された俺が悪いのか
逃げたみんなが弱いのか
別れのために用意した酒とキラキラしたスピーチ
無駄にはできないから鏡に向かって乾杯
色々世話になったなありがとう
あとは楽しくやってくれ
俺のことは忘れて
汚れた翼をたたんで待つ
どうして役目を忘れたのかと怒られる
どうしてもこうしても
だってみんなが弱いもんだからさ
何をしても不幸そうにしているからさ
とにもかくにも大きな花束は用意したんだが
誰のためだったんだろうか
領収書はもらってある
何のための経費だか
あげたら嬉しそうにしていたっけ
さらばとかあばよとか三文字の簡潔な挨拶で
その街は姿を消す
うつ伏せに倒れた看板だけが栄華を誇る
かつて
飛ぶ鳥を落とす勢いだったとか
しかし
それは貧しい者たちの優しい心により保たれていたのだとか
雀の涙ほどのお給料で
ふんだんに与えられたのは流行りの
明るく悲しい歌だけだったという
壊れかけの街のスピーカーからはこんな歌
君はかわいそう、君は悲しい、
だから君は生きている
それからけっこうな年月が過ぎ
散り散りになった街の住民達は
相変わらず叶わない美しい夢を見ている
空飛ぶ自転車に乗りたいとか
月までの虹をかけたいとか
波の言葉をわかりたいとか
そういう類の
また街がやいやい言ってきたらこんなふうに返事をする
もう君は私たちなしで平気だろうと
むしろ私たちが君たちの自立をはばんだ
餌すら口元に置かないと食べなくなった蚕のように
それで街はすごすごと通り過ぎる
綺麗なレース編みの肩掛けをぷらぷらさせながら
それは親切な人が大切に編んでいて
欲しそうに見ていたらくれたんだった
何でも欲しがるしすぐに命令したがるけど
本当に欲しいのはきっとそれじゃないよ
しばらくは冷たい雨で
それが過ぎたら冬になる
こんなレースじゃ寒いままだけど
綿花の摘み方さえ知らないんだよ
積荷がゆっくりとおろされて午後には晴れ
責任者が出たり入ったり
ありがとうもごめんねもただ言ってるだけで
アップルパイがどうのとか相談していたけど
うなずいてる方はもう飽きている
うわのそらで空を見て
あのたわんだ雲はなんて名前
風にさらわれた蜘蛛の巣が通り過ぎる
何かの準備が始まりそれに追われていて
この靴でステップは踏みづらいと
裸足のお姉さん達が文句を言うので
また街の人たちが駆り出されて
そこはこうすれば良いみたいな話をする
それで万事解決とはならなかったけれども
結婚式には間に合ったので良い
スープの事は言ってたっけ?
冬だからスープとおすすめされたんだ
そのスープは最初に石を入れといて
みんなが食材を足して
最後はすごく美味しくなったらしい
森のリスさん達も来て
クルミの殻におすそ分けしたんだって
クマさんは腕を怪我していて
なんか痛そうにしていたみたい
赤いバッグを下げていたみたい
こっちにおいで
季節は瞬く間に過ぎて
住民もみんな代替わりして孫たちが
何も知らずにまたいいようにこき使われる
それでまたまた街は消える事になるんだけども
レース編みの技術が残っていて
博物館にも寄贈されていて
一大産業になったなんて何が幸いするか分からないな
レース編みは皺深いおばあさんたちの趣味にもなり
それはそれは色んなものが編み込まれる
夕焼け空
鹿の角
倒れてるひと
蚕
とり
別れの言葉
はい
、
※※※※※※※※※
涼しい木陰でレースを編んでいると
村の若者がやってきて結婚しようと言う
からそれはベールになり
おばあちゃんになってもまだ編み続けている
完成してはまた編む
また
そのうち根っこだけじゃなくインターネットや量子ロボットが地球を覆って
さながらレース編み
あるいは蜘蛛の巣
もしくは蚕の繭
千切れてはつながり
やっぱり色んなものが編み込まれる
理想や
空想
喧騒
伴走
葬送
どうしても一人では無理だから
みんなで編んでやっと一つの作品になる
そのうち
どこかの星がやってきて結婚しようと言う
からベールになり
結婚式には沢山の参列星
熱い太陽の前に進み出て愛を誓う
そうして長い旅が続き
今では時空を行き来できるし
次元を編んだりもできる
歳もとって
見守るのが仕事になりつつある
こんなふうに語るのもバトンタッチしていい頃だ
もう休みますねって言っていい気がして
うつ伏せで倒れていたら
これをこうして編んだらいいんじゃないかと
上で誰かが言う
それなら空を飛べるし月まで虹もかけられるね
それに波の言葉も分かる
名案……賛成……とみんなが手を叩き
それがやがて手拍子になり
誰かが歌詞をつけて
別れのための歌になった
1、2、3、はい、 ]]>
http://po-m.com/forum/showdoc.php?did=369352
自由詩
2022-02-21T11:20:47+09:00
-
少しだけ血が繋がっていたので
わたしは右手で彼らは左手と思うことにした
左手を使う時彼らを思い出した
出されたデザートの皿は欠けていた
兄はとても器用な人で身体が弱く
小さな楽器を作るのが趣味だった
細い弦をはられたバイオリン
音の出ない打楽器
銀のフルート
演奏する楽隊のない人の
さびしい咳 (灰色の咳)
姉は活発な人で滅多に屋敷におらず
けれど部屋に入ることを許されていたので
姉のいない姉の部屋で
目はきょろきょろし続けた
ガラス製の昆虫や
恐ろしげな本があった
外国の香水の瓶を盗んだけれど
すぐに返して次に盗んだのは
兄の密葬は静かに行われた
喪服の姉は怒りで美しかった
「あなたは何をしたの」
わたしは何も言えずうつむき
たったひとつの財産である盗癖を詫びるしかなかった
兄のいない兄の部屋で
バイオリンの弦が軋む
ガラス製の昆虫の
交接のような音が聴こえるので
わたしの左手はそれ以来動かない
{引用=初出 詩誌『空想』サイト投稿欄2010/06/09 (Wed)(現在は閉鎖しています)
この詩に葉月二兎さんから批評を頂いて、そちらの方がよっぽど詩みたいでいいので
一緒に出したかったけどご本人と連絡がつかないので諦めます……あっでも最後の一文だけ……
「(注2)この詩において三重に(そのためにより強固に)「抹消」されている「父」については、語らずにおいておく。
精神分析は批評ではない。」(←ふぁー!かっこいい!)
} ]]>
http://po-m.com/forum/showdoc.php?did=369133
自由詩
2022-02-08T16:59:35+09:00
-
薔薇は世話が大変だと知った
この土地は気にいるかな君は雨が好きだから
素直な枝と同じに左右に分かれる道があった
僕たちはやがてはなればなれになり
優しく雨が降れば思い出した
後悔や悲しいことも過ぎ去り
忘れて変わっていくことに慣れていく
薔薇だけは毎年忘れずに咲き棘は細く光り
激しく降り始めたは雨は多分しばらく続く
昨日から乾いた咳が止まらない
濃い蜂蜜を舐めても喉はうずく
住む所の良し悪しは気にした事がない
咲かない蕾みたいな家だった
こだわりのかたまりみたいな君には似合いそうもない
走り出すのは翼を持つ君だった
僕は生まれてはじめて本当に焦って君を追い
本当に危なかったら全身で止めた
君が言っていた丘はここからは遠い
そこから見る夕焼けは君の言うとおり
この世の果てみたいにゆらめいて儚い
こんなふうに手紙を書くのは久しぶり
揺れる字の感じから感情が伝わると
自信のなさもばれてしまったり
再び会えた君はやっぱり楽しい人
意外な物の見方をして笑い声も変わりなく
僕の後悔を虹が消えるように払ってみせたりと
薔薇に興味はない君を引き留める重さはなく
小さな手と握手をかわしてまた別れる
もうすぐ雨が来るわと言われて上を向く
湖は変わらずに空にある ]]>
http://po-m.com/forum/showdoc.php?did=369025
自由詩
2022-02-03T12:00:58+09:00
-
遠くに霞んでいるトンネルの入り口
小雨が降りはじめ暗い匂いがする
黒く濡れた何かが静かに入ってくる
そんな車からさっと降りた
姉さんは真っ白い日傘をさし
もう夏なのね、ねえ笑ってよと笑う
こうしてこだまする懐かしい場所さえあれば奏でられる
色々な音色が出るという笛を片手に
サーカスの熊使いよりも上手に
やれやれと肩までつかっていた秘境の温泉
湯気ではっきりとは見えないけれど
もわもわした気分はすっきりと晴れて
こんなにもふわふわに乾いた綿ポリ レーヨン キュプラ
反抗期だからなかなか喋らないし
夕暮れ時にはほつれ始める
そんなこんなで気まぐれに子らは遠くの森へ
そこでも都市化は進んでいてお湯はたっぷり出る
魔女の残した鍋はぽっかり穴があいていた
それでうっかり蒸気に指をさらしやけど
呼び鈴が呼びやけどの指が印鑑を探す
その強さが素直さとつながっている
つまりこんがらがっていた仕事も無事にほどけたし
昨日のカレーも美味しくなっているし
猫みたいに伸びしてあったかい布団でほぐれるし
ところで飛んでいってしまった人には
望みのないはかない恋だったと
言いたかった花言葉のような言葉を
そうそうかまぼこのカーブは分からないけれど
運動であり自己破壊でもあるという
読むという行為は
(今のあなたのように)
いつまでも美しいと言える
それから ]]>
http://po-m.com/forum/showdoc.php?did=368181
自由詩
2021-12-18T21:01:22+09:00
-
君は綺麗だとは言うものの斜め後方から。
日曜日の午後はいつも小雨の降る街で手を繋ぐの。
そんな決まった天候のある街などないと言う常識人。
あの人は知らないだろうが日曜の午後は感光しがちで孤独のあまり街は泣いてしまう。
写真家である彼の匂いは現像液だったのかもしれない。
現像液に次第に浮かび上がる私の裸体は綺麗だろうか。
彼はそんなにまで背が高く抱きしめあうと無防備に抱き上げられる。
わたしのかかとが果てしなく落ちてゆく。
あなたの心はあなたのもの。
愛してるという簡素な言葉には一瞬の真実くらいは多分ある。
感情が写ってしまう白い写真と同じように。 ]]>
http://po-m.com/forum/showdoc.php?did=367856
自由詩
2021-11-30T19:01:36+09:00
-
ビニールで包んだプレゼント丸見え
川があっちからこっちへ流れてく
星は動いてるんだろうけど分からん
太陽当たり前過ぎて感謝できん
内臓に意識を向けても寒いまま
右脳と左脳分けてないけど二人
ブックカバー脱がしてから読みたい派
ご飯炊けた匂いは正直微妙
ムンクって力んでるよね むん、クッて ]]>
http://po-m.com/forum/showdoc.php?did=367827
川柳
2021-11-28T00:17:46+09:00
-
静かな音の中
君の寝顔を間近で見ていた
冬の厳しさがすぐそこにあり
空気は冷たく
一向に縮まらない距離に悩んでいた
近付けば逃げるのに
留まると残念そうな顔なのは何故
その頃には君の癖は分かっていた
すぐに
人を試す悪い癖
こめかみが痛いと怖い顔もする
しかめつらのまま眠る
ひどく幼く
限りなく優しくなる睫毛
雪のように正しく、やさしくあれと皆が君に言う
(僕だけは言わないように気を付けていた)(君はうつむいてばかりいた)
責任とか義務って何のこと
わたしは何も知らずに産まれたのに
みんなそうだよ
みんなの話なんかしていない
穏やかだった流れを切るように横を向いた君の厳しさ(美しさに)
僕はとても
とても困っていた
別にもう好きじゃないとどうしても言えない
どうして言えないんだろう
難しい顔で果物を選ぶ
そのわりにはすぐに食べないで
傷んでしまってから嫌々食べる
あふれるほど覚えている
泣くと筋肉を使うと言って笑った
喧嘩とか、したくないけどするかもねと言ってはふるふる泣いた
許可を得たのは一度だけだった
それで充分だった
沢山の時と日があの赤銅色の落ち葉たちのように逝った
思い(取り)出すたび少し傷む
君と同じこめかみが痛むようになっていた
君の声
身体の動かしかた
思案する
泣き
笑う声
切ない間 と名がついた
記憶の部屋にはそれが大切に保存されていた
確かに、いや、
多分
それで充分のはずだった
こんなにも時が散りつもりなお
君を救うのは僕でありたいと強く願う
いくつもの楔が打ち込まれて錆びているからか
いいや
君のための特別な部屋があって
そこには君しか
入ることが許されないからだ
すぐに人を試すようなことをして
すぐに後悔してしょんぼりする
子供みたい
子供はでもこんなふうに
根気のいる細かい作業はできないし
昔に作られたものに嫉妬したりもしない
壊したりも
ふいにありがとうと言ったりも
ごめんねはあるかな
ごめんね
赤いコートで雪の中に立つ君は本当に
孤独でかわいそうできれいで
きれいで切なくて
君しか入ることを許されない部屋ばかり
増える ]]>
http://po-m.com/forum/showdoc.php?did=367755
自由詩
2021-11-22T16:26:39+09:00
-
袖が長くなった
言葉は短く
体毛は薄く白く
はかないものに近づいていく
そんな母に高齢の魔女たちが詰め寄り
うらみつらみの思い出話に花は咲かずに散りしきる
というような話を
紅く燃え盛る山々を見ながら叔父とする
遺産とは生を受け守り育てられた行為なのではないかお金ではなく
ならば皆平等に生かされて今では
よく転がりそうな樽
枯れ木じみた魔女などに見えるが
健康ではある母の妹たち
現金は即株につぎ込んで数字を睥睨していた祖母は
床が腐って抜けるほど質素だった
広大な土地を持っていたのは叔父しか知らなかった
姉たちの狂騒を予測し
早々に相続権を放棄した叔父は相変わらず宇宙人じみている
あどけない母を相手取り
調停や訴訟がおそらく始まり
ありとあらゆる手続きが私にのしかかるだろうと言ってみる
それが生きるという事で
戦っていないものなど一人もいない
と叔父は言う
リングから降りるのも手だが
お金は大事だからね
ほとんど物を持たない叔父は
広大かつ深遠な数の宇宙と関係を持ち
常に忙しく世界の成り立ちを演算している
整然よりも渾沌よりのい出立ちだが
訪ねてくる卒業生は多いらしい
財産とは形あるものだけでない
叔父は持てる者
幼い母は持てないで幸せ
現金は全て寄越せと昨日も長々と魔女たちが呪文を述べていった
少しでも少ないと嫌なのは何故だろう
ねたんだり、うらやんだりするのは何故だろう
脳がそういうふうにできているらしい
それをなだめるにはどう、
とここで強い風が吹き
もう帰ろうと叔父が言う
つまらない話を
宇宙人じみた叔父が
意外とよく聞いてくれる
それもこうなっているから得られた財産なのだろう
綺麗な落ち葉だと拾う姿を見ながら
静かに思う ]]>
http://po-m.com/forum/showdoc.php?did=367627
自由詩
2021-11-13T22:29:25+09:00
-
上手く逃げたと思っていても
いつかは対峙する時が来るものだ
ひとり
佇んでいたプールサイドは
夏の光に汚れて立つのがやっとだった
きみが
手のひらを開いて見せたのは
何の合図だったのか
もう終わるのよということかそれとも
始まりの
蝉の声が切断され
夏は一度きりだったと気づいた
特にきみのいた夏などは
失くして初めて気づくもののたぐいだった
宿題を忘れていた
きみからの宿題
この気持ちは何なのかどう説明がつくのか
はっきりさせないといけない
青い正方形に優しく線をひく飛行機雲
よりはっきり
開いた手がだらりと下がり
きみは大きくうなだれた
助けがいるようなら言って欲しい
誰か大人の人
全てを叶えられる人
きみを
救ってくれる人
それは僕ではな く
裸足がもうつらい季節
靴が合わなくて探し回る
近くの店では取り扱っていない
では遠くは
遠くとはどこだ
遠くに行っても戻ってきてしまう地球は丸いから
いずれは
ここへきっと
僕の(きみの)ところへ
僕はいつも間違えた
後から見れば大抵の事は間違っていて
たまに正解だとしても偶然の産物だった
諦めの悪いやつだと罵られた
失うことは誰でも怖いけれど
前を見るために目はここにあるのだ
理想というよい響きの言葉が手の中にあり
陽に透かすとかすかに光った
いい歳をしてと言われて怯むのだが
いい歳とはどんな歳だろうかと真面目に考える
どんな歳だろうとも同じように生きていて
同じように悲しんでいて
痛みというものがわかっているなら
それでいいのだと確かにきみは言った ]]>
http://po-m.com/forum/showdoc.php?did=366648
自由詩
2021-09-14T11:32:56+09:00
-
意味→目的→表象(目に映るもの)→表象が意味を持ち、かつ間違えることがあるのはなぜか→意味を持っているのは、生きるのに必要だから。
情報とは、つながってるものである。そのつながりの一つを選択して意味のある情報として受け取っている。
第1章 意味
意味はあるのか、何か、どういう仕方であるのか
=意味は、「目的」と密接な関係を持っている。
「目的」なくして、「意味」は存在できない。
ロボと人との違いのように。
ロボ自身には自分の欲求に基づいた目的がないので、「意味」を理解できない…というか、意味を理解している証拠=自分の欲求に基づいた目的があって何か行動している、という論法
目的があって何か行動している=意味を理解している、と言える。言えるのか???
確かに、植物人間が意味を理解しているか、いないか、というのは、その人が、何か欲求があって、何か行動(返事するとか、声を出すとか)しないかぎりは、心とか、意志とか、あるって分からない。
動物が捕食する時も、「自分のやってることの意味を理解している」と言える。
それじゃあ、生き物が何かをやってるというのはどういうことかっていうと、まず、何かを認識し、判断し、っていうことになる。
認識=表象について、表象の本来の機能を進化的に、物理の中で説明してみる。ここから第二章。つまり、生き物はいつ、どこらへんで、獲物を獲物として認識できるようになったのか、ということ??
↓
意味を理解するロボットまたはコンピューターを作るにはどうしたらいいか
物理法則にしたがう機械に「意味の理解」ができるのなら、物理的世界に書き込めるのではないか。
・チューリングテスト
自分が人間であることを審判に分からせるのが役割のコンピューター
このコンピューターの勝率は50%でよい。審判がどっちが人間か判断がついてないということだから。
このテストにコンピューターが合格するのは難しい。
イライザはいい線いった。うまく相槌をうてるから。
しかしイライザは「わかっているふり」をしているだけである。
知能を振る舞いのパターンと考えるべきか、その背後にある何かと考えるべきか。
知能、知性というのはふるまいと分けて考えるのが難しい。
イライザは形式的記号操作をしているだけである。我々の意味の理解とは違う
↓
「中国語の部屋」サールの主張
英語しかできない人が部屋に入ってる。ジョンは中国語を理解していないけど、マニュアルにしたがって中国語の文を作ることができる。
プログラムは統語論的でしかないが、心はそれ以上のもの「内容」を持っている。
(統語論=文法を守れ、ということ。意味は関係ない)
サールは、心は文法を守って文を作ってるんじゃなくて意味を理解して作ってると言う。
そもそも計算システムは知能を持てない。計算とは記号操作でしかないから。
サールへの反論
サールはカテゴリー錯誤をしている。サールはジョンと中国語の部屋を一緒に考えているが、二つは別物。中国語の部屋はひとつのシステムで、システムとしては中国語を理解している、と言えなくもない。
サールの反論。ジョンの頭の中にマニュアルがあったとしても、ジョンは中国語を理解していないし、それに準じた行動も起こせない。
ジョンやイライザが意味を理解していないと言えるのは、行動に移さないから。
会話以外何もしないということが、意味を理解していない、ということにつながってしまう。
では、体を与えると?
それでも、ロボットは理解して体を動かしているとは言えない。ジョンが出した命令通りに動き、ジョンは出した命令の意味を知らない。
信原幸弘「人間は問題解決の主体だが、ロボットはそうではない」
欲求や欲求にもとづく信念は、環境適応への手段だが、ロボットにはそれが必要ない
ゆえにロボットには欲求も信念も心もない。
自分のために、何かを要求するロボット、機械が自分自身の問題を持つようになったら、「心を持つ」と言ってよい。
ロボットに心を持たせるためには
1、何かしないと存続できない仕組み
2、自分のプログラムを書き換えて行動の幅を広げられる
3、自己を存続させたとき、同じものを複製できる
ロボは、心を持ち、意味の理解をもつ前に、まず生きなければならない(そうなの???)
○意味という概念が、目的という概念と密接な関係を持つ
意味とは何か、意味を理解するとはどういうことか=論じるフィールドとしては、生き物が生き残るために何かをする、という場面でこそ問われるべきである。
○生き物が何かをする=○情報を取り入れ、行動するプロセス=認知科学っていう
認知科学での認知観・人間観とは
「古典的計算主義」
表象(なんかあるっぽいもの、目に映って脳で認識された何か)
頭の中の表象はどんな形をしているか。統語論的構造を持っている=部分から組み立てられて、組み換えが自由で、部分と構造で全体の意味が決まる、ということ。
「林檎とお皿と赤いと青い」はバラバラで組立自由。
思考の言語仮説という。あくまでも仮説。(コネクショ二ズムというのもある)
しかしこれでいくと、我々も機械とおんなじようにものを考えてるとなる。
我々の認識してる表象自体に意味があるってことなんじゃないの?
★では、そもそも表象が意味を持つとはいかなることか。
表象が他の解釈者なしで何かを意味するとはどういうことか。
=ミリカンによれば、進化の過程で生存に有利だったから、捕食者にとってネズミはネズミを意味するようになった。
「因果意味論」=ネズミが出てきたら「ネズミだ」と思う。ネズミ以外では思わない。
モグラが出てきても「ネズミだ」と思う場合、猫の思う「ネズミだ」はモグラとネズミのこととなる。
???
「意味する」=正解と間違いの区別を前提としている。しかし、因果意味論では、正解と間違いの区別がなくなる。間違いが正解の中に取り込まれてしまう・・・???
だれが正解と不正解を区別しているのか???
「ターゲット固定問題」
何故特定の対象であるネズミを、「表象の原因」として取り出せるのか??という問題。ネズミこそが表象の原因であり、表象の意味するところだとする決めてが何か、という答えを「因果意味論」は出すことができない。
ミリカンの「目的論的意味論」=要するに、進化や歴史の過程で、猫にとって、ネズミの本来の機能(ネズミをネズミと認識させるような本来の機能がネズミ自身の外見やらなにやらにそなわった)が定着した、みたいな感じ。
第一段階「本来の機能」
表象間違いとは、本来ネズミを表象するための表象がモグラによっておこされた。
鋏の本来の機能は切ることだ。
ネズミ表象=「ネズミを意味することが本来の機能であるような表象のこと」
表象間違い=表象の本来の機能(ネズミを意味する)と不適切な因果プロセス(見間違えとか)の二つによって分析できる
つーことで、「本来の機能」の概念を自然化すれば、その特殊ケースとして表象の意味も自然化できそう(自然化=物理的なところに埋め込むってこと)
第二段階「本来の機能」を因果関係に還元(自然化)する
本来の機能を自然化するのはむつかしい。本来の機能には「製作者の意図」があるっぽいから。ミリカンは、「生きるのに有利だったから」という説明に頼る。
第三段階「本来の機能の自然化を意味の自然化に当てはめる」
ネズミ表象は何のために使われるのか?
そもそも「意味する」とは生き物が何かをするという場面ではじめて生じるものだからこれはOk。
トムの表象Xがネズミを意味する=トムの先祖がネズミを食べて有利だった
トムのネズミ表象は「捕食」という機能ゆえに存在している。だから、因果連鎖の中の「ネズミ個体」だけをピックアップできる。(ターゲット固定問題に解答できている)
批判1 人間のもつ表象全部にもあてはめられるのか?
人間の持つすべての表象に同じ意味論が与えられなければならない、という決まりはない。
人間の使っている表象は、原始的なものから言語を会するようなものまでさまざまだから。まずは原始的なものからはじめようか。
批判2 ミュータント・キムは赤いものを「赤」とはせず「スノーフのいないところ」と表象する?(その世界に赤いものが他になければそうだけども、議論にならない)
批判3 目的論的意味論では、カエルが小さくて動くものを何と表象しているのか区別できない。ハエとBB弾。反論。カエルの神経系を調べればできなくもない。あと、ハエとBB弾の区別ができたとして、何の説明ができるのか。
批判4 スワンプ・マン
脳細胞までまったく同じだが、歴史を持たないレプリカの「表象」は何も意味していない。(歴史を持たないレプリカが表象を持つとは全然思えないんだけど…)
本来の機能が自然化できれば、意味も自然化できる。
本来の機能を自然化するために、ミリカンの進化に訴えた議論がある。
第2章 機能(いま、そこにないもの=本来の機能は、いつ、どこで生まれたの?)
○「本来の機能」とは、意味、目的、自由、価値、のハブである。
「今そこに無いもの」へのかかわりは、生命を特徴づける重要な性質だとみなすことができる。遺伝とか、免疫とか。
本来の機能の自然化=いまそこにないものへのかかわりが自然界の中でどう湧いて出てくるのか、きうるのか、というお話。
ミリカンは、本来の機能は今何をしてるかでなくその歴史が大事っていった
でも歴史(進化論)を知らんでも本来の機能は分かるじゃない?っていう反論があるとして…
ミリカンは概念分析じゃなくて理論的定義なんだから反論は成り立たないと言っている。
ミリカンは我々が持っている機能概念の分析はしていない。
そもそも分析哲学は、哲学者の判断に基づいて概念を分析しているから、なんだかなー
それに対するのが「実験哲学」というもの。アンケートとったりして。
哲学者の直観てあてにならないよね、ということが分かった。そりゃそうだ。その時の流行とかあるだろうし。
分析哲学はつきつめると、「どっかに真の概念がある」みたいな話になっちゃう。これはいただけませんねー
そもそも哲学は、色々考えた上で理論展開していき、さらに新しい概念を作るのに従事すること。
哲学は概念ではなくそのものを探求すべきである。新しい定義をやり直すのが「理論的定義」ということ。
理論的定義が良いかどうかはそのものの目的に照らして判断される。
自然界の中にある「本来の機能」そのものについて、新しい概念を定義したい・・・作者
ミリカンはどんな理論を作ろうとしてるの??
機能カテゴリーの特徴
1、素材・性質は共有されなくてよい
2、機能を果たしているか、可能か、は要求しない
3、本来の機能に訴えて定義される。壊れててもよし。
ミリカンの目標は、機能カテゴリーを統一的に(起源論的に)説明してくれる理論。しかも自然化できるし。雑多な現象が統合的に説明されるようになるって。なるの?
第3章 情報(情報の流れの中に、表象はどうやってあらわれるのか?○まず情報ってどういうものかおさらいしよう)情報とは、情報同士がくっついているものである。
あれがおきるとこれがおきる、というひとつながりのもの。
情報はただある出来事が起きた、というもの。解読者は後から。
情報の流れは、あれが起きたからこれが起きた、という仕方で結びついておきる。
知識は情報を信念で切り取った一断面である。
解読者を前提しない情報 大昔の隕石とか。調べたら分かるけど、人がいてもいなくてもそれは何かしらを伝える。
情報とは何か」とは何か?
情報を一つの概念に統合し・・・または複数のものの相互関係を明確にし・・・情報概念がもつ有用性と限界を考える。
情報A 知識
情報B 内容を含まない、量としての情報(意味抜き平均情報)
情報C 複雑なメッセージほど情報豊か その列のアルゴリズム的複雑さで定義したい。これは本書では扱わない。
AとBをくっつけて情報概念を作る。
Bシャノンの情報理論とは
「通信の数学的理論」を発表した人ね。
通信システムの定義 発信源、送信機、通信路、雑音源、受信機、受信者
確立pの事象Aが実際に生起したことを伝える情報に含まれている情報量を
I(A)=-logpとする。対数の底は2、単位はビット
すごく珍しいことが起きたことに含まれる情報量はp=1/1024
ごく当たり前ならばp=1/1=0
この情報量は「自己情報量」という
情報源が平均として生み出す情報の量を定義する。情報源のエントロピーと呼ばれる量
コインを情報源と見た時に、それが生成するメッセージの平均量を単位として決めたい。情報源が情報を生み出す確率を調べて全部足す。
フェアなコインのエントロピーは1ビット、偏ったコイン(表しか出ない)のエントロピーは0.6ビット。フェアな方が情報量は多い。
シャノンは情報源ではなく通信路に関心があった。
通信路容量ビット/秒を考える。
情報を効率よく信号にできると(符号化)たくさんの文字を送れる。
シャノンは符号化に関する2つの定理を証明した。
1、符号化をがんばれば通信速度を上限に近づけられるが超えることはない
2、符号化をがんばれば雑音による誤りの頻度をいくらでも小さくできる
ハリーナイキスト データ伝送の最大速度を決める要因は信号の形(短形波がよい)と符号化の仕方と見出した。
ハートレーすべての記号列は可能な列であるとした(モールスも英語も一緒。意味でなく記号と考える)
情報量と可能性は逆の関係にある。片方増えると片方減る。他の語を選択するという可能性を狭めると情報が生まれる。
そんなこんなで「確率メカニズムによる選択が情報を生む」という発想が生まれた。
情報を「内容」ではなく確率で生まれる記号と考えた。=「意味抜き平均情報」
何かが起これば情報となる、ということになる。観測者はいらない。
ドレツキの仕事
知識は情報の流れのなかの一部とした
知覚や知識は情報が先にあって、その後で生まれたもの。
この情報の意味論はシャノンの理論を下敷きにできる。
ゼロックス原理
AがBを伝えBがCを伝えるならAはCを伝える。
ということは、SがFであるという情報の内容=SがFであることを生み出した情報量
となる。なるらしい・・・私にはわかりませんでしたー
要件」
1、もし、ある信号がSがFであるという情報を伝えるなら、SがFであることによって生じたのと同じ量の情報をその信号は伝えなくてはならない。
2、現にSがFでなければならない。(間違ったお知らせは情報ではないと考える)
3、信号がsについて運ぶ情報の量は、SがFであることによって生み出されたその量でなくてはならない。
情報内容の定義
「信号rがsはFであるという情報を伝える⇔rという条件のもとでの「sがFである条件つき確率」が1である。
この定義の重要な帰結は、一つの信号はいっぺんにいくつもの情報を伝えることができる。それどころか、いっぺんに無数の情報を伝える。
rのもとで条件付き確率が1になる事象はいくらでもある。そうなの?
信号がある情報を伝えるなら、その信号はそれに入れ子になっているあらゆる情報を伝える。それは「意味を含んでいる」こととは別のもの。
○情報は、出来事から出来事へと流れていく。
1、情報の担い手(信号)となるためには、何かを表すという機能をもっているもの(表象)である必要はない
2、情報の内容は、受け手による解釈とは独立して、情報源と信号という二つの出来事間の客観的関係によってきまっている。
ドレツキは情報の流れとしてみた世界の中に「知識」を位置づけようとする。
知識の定義
AがPということを知っている⇔AのPという信念がPという情報いよって因果的に引き起こされた
つまり、知識は情報によって生み出された「信念」である、てこと。
知るってことは、信念という形で切り取られた情報の流れの一断面なんである。
情報の流れがあるためには、出来事同士が「あれが起きているならこれも起きている」という仕方で互いに結びついている必要がある。
我々の認識する因果的世界は、そのままで情報の流れる世界でもある。
○情報の流れとしての世界には、出来事はいまそこに起きていない別の出来事「について」の情報を担うことができる。これは「意味の素」となりうる。
第4章 表象
記号や心的表象は、自分以外の何ものかを志向する。「志向性」という。
間違いがおこるのは、そこにないものを志向できるから。
「志向性」は「について性」「間違い可能性」によって特徴づけられる。
両方持ってるのを「志向性」について性しかないドレツキの情報みたいなのは「志向性モドキ」と呼ぶ。
どうやって自然界から志向性モドキからの志向性への進化があったのか?
自然界を流れる情報がいかにして志向的表象にまで進化するのか?
をたどる。モノからココロがどうやって発生したのかなってこと。
「自然的記号」間違わない。暗雲の後には雨が降る。
「志向的記号」間違いのありうる記号
どうやって無数の自然的情報から一部をよりわけて志向的記号に変換してるのか?
生き物が利用できる自然的記号については、記号とそれが表すものとのつながりが自然法則である必要はない。これを「局地的情報」とミリカンは呼ぶ。普遍的法則を要求するドレツキの情報概念は「文脈自由な情報」である。
情報同士につながりがあればよく、偶然ではなく普遍法則でもなく、まあまあつながっていればよい。
そんで「局地的反復自然記号」であればよい。この繰り返しが成立する領域を「準拠領域」と呼ぶ。
記号生産者の本来の機能は、消費者がうまく利用できるような真なる表象を生み出すことであって、自然的記号を生み出すのはその副産物ないしはそのための手段である。
どんな出来事も何かの自然的記号なのだから、使い道のある記号を生み出すから、特定の自然的記号が志向的記号になるのだ。
では、間違いうるような形で表象(志向的記号)をもつことにどのような利点があるのか。なんで我々は間違えるのか。
生き物も自然的情報の流れの中にあるのだが、その情報のうちあるものを独特仕方で利用する。
第5章 目的
間違いとは、表象していることがらが現実に成り立っていないということ=
いまそこにないものの表象、志向的表象=
目的・目標を心に抱くことができる。
人はどうして「目的手段推論」を身に着けたのか?
いろんな選択肢の中から一番目的に合ったものを選択するということ。
そのためには、現実にはない、間違いうる表象が必要になる。
ではそれは、どのようにしてあらわれたのか???
目的手段推論は、指令オシツと行為オサレツが存在して、それが分離されて自由に組み合わせ可能ということを要求する。
オシツオサレツ動物にできないこと
・可能な行動を新しい仕方で組み合わせできない。
・使い道のない情報を保持しておいて、いざというときそれを使うことができない。
延々と巣穴チェックを繰り返すハチは、今さっきチェックした、からもうやらなくてよい、ということができない。
どうすれば実現できるのかわからない目的を持つことができるためには、人間の表象能力はどのようなものでなければならないか。どうやって生まれたのか。
オシツオサレツ動物の賢いものは、対象や縄張りの空間配置や事象の時間的随伴関係を表象し組合すことができる。
人間は、いかなる特定の用途ももたない表象を持てる。なぜか。
未来への準備のため。
未来が予測できることと、それを目標に持つこととは違う。
未来が予測できても、工夫はできない。しっぽを挟まれないように早く走る
目標を持つと、工夫ができる。しっぽを挟まれないようにしっぽを立てて通る
未来の予測を、いまここで制御するための導きとして用いることができるかどうか。
が目標を持つか持たないかである。
目標が実現されるように行動を調整し導く表象
目標に達しているかどうか判断できるためには、目標と自分の行為結果を比べることができなければならない。どちらも同じ言語でコード化されている必要がある。
事実はこうなってますという信念を持つことの意味、どうすればそれが持てるのか。
使い道のない情報・信念を形成できることにどんな利点があるのだろうか。
心の中でシュミレーションができる(ポパー型生物である)ためには、表象と行動に「タメ」が必要。
「タメ」がないと、表象が出たらすぐに行動となってしまうから。
その「タメ」がとりあえずの、無駄な信念を持てるってこと
どんなシュミレーションシステムが必要か。
・内容に拘束されない自由な推論が可能である
そのためには、表象の一様なコード化が必要
(コード化していないと、命令が行動に専用化しちゃって、バラバラに組み合わせられない)
・主語と述語に分節化され、否定形をつくることができる(ような表象
表象同士のつじつまが合っているかどうか。というのが、シュミレーションのチェック方法になる。矛盾してなければOKみたいな。
文に似た構造をもつ必要がある。
シュミレーションしてみて、矛盾していたり、間違っていたりしたら、やってみる必要はなくなる。
・ホンマもんの目的手段推論
ホンマもんとは、欲求と事実的表象(信念表象)を組み合わせて目的に適った行動を生み出すシステムのこと。
著者はこういう複雑なシステムも、原始的なものから進化したのだ、と言いたい。
この能力は、それ自体に適応的価値があったために選ばれて進化してきたというより、他の一般的な能力がその利点のために選択され、その副産物として手に入った、という考えもアリ。
277からよくわからん
「人間は、目的手段推論というちょっとした拡張機能つきのオシツオサレツ動物」なのである。
この拡張機能は、人間らしさのルーツになっている。「自由」とか「道徳」とか…
自由
人間の自由は、反省的自由である。というか色々あるけど、それが持つに値する自由である。これは、先の表象の進化のたまもので、自分の目的・欲求と信念についての表象を持つことができたり組み合わせて目的手段推論ができるようになる。
反省的理由は、自分自身の目的をコントロールすることを可能にした。
しかし、これだけでは、機械の持っている「自由」とさほど変わらない。
人間はその他に「道徳」を持っている。
道徳
自己は実態というより組織のされ方であり・・・
自己があって物語を語るのではなく話が自己を作っている。
自己と呼ばれる組織化を経由している行為が、責任ある自由な行為なのである。
(自分のキャラに一貫性があり、そのキャラのように行動するってこと)
道徳的に重要な自由の持ち主として認めてもらえるかどうかは、その人が責任を負わせたり引き受けたりするゲームに参加しているかどうかによる。
行動に責任をとるという実践が、ホンマもんの自由意思を生み出しているということになる。見かけ上は。
反省し、責任をとろうとするとき、次は失敗しないように、自分を再プログラミングしている。そういう自由を持っているし、持ってしかるべき。
とても一言では言い表せない。心っていうのは、進化の過程で生まれた「あれが来たらこれをしろ」の進化バージョンのシュミレーション能力の機能が拡張されたもの。っていうことかな。
シュミレーションできないと、あれが来たらあれを捕まえる、という単純な行動しかできないし、イレギュラーなことに対応できないし、あれがきたら、の「あれ」を別な何かに変更もできない。
このシュミレーション能力が人間の持つ「自由」や「道徳」にも関わっていて・・・。
自由って色々種類があるけど、我々が持つに値するとして採用している「自由」は、好きなように目標を設定して、それに向かったり、失敗したら目標を変えてみたりやり方工夫したり、っていうもの。これはシュミレーション能力がないとできないこと。
で、「道徳」は「その人が自由かどうかの指標」みたいなことを言ってて・・・
つまり、「その人が自由にふるまえているかどうか」=「その人が、自分を客観的に見れて、反省したり、目標に向けてがんばっている」ってことで、「反省する」ってことは「より善き自分になるように反省する」ってこと=「道徳的な行動」ってことだから。
自由とは、行為の結果から反省することができること。
行為の結果から反省することができるということは、「自分のしたことの責任を取ろうとしている」ということで、それって「道徳的」ってことらしい。
自由で道徳的というのは、つまり、過去の経験から学んで良い道を選べて、自分のしたことに責任が持てる。ということ。
まとめみたいな感想みたいな・・・・・・・・・・・・
ロボットに心があると言えるのはどんな時か。とか、情報って何かとか、人はどうして目的手段推論を身に着けたのか、とか、「持つに値する自由」ってどんなかとか、「道徳」っていつごろ生まれて、何なのか、とか書いてあった。
なるほど、人に特有のものと思われている「自分を客観視できる力」や「それによって目標を立てて努力できる能力」も、生物にもとからある機能が拡張されたものなんだと、一応納得できます。著者は、「心」と「生物としての機能」を分けるのではなく、心も進化の過程で生まれた機能の一つなんだ、というふうにしたくて、丁寧に分かりやすくゆっくり説明しています。
ここには無いものを心に描いて、目標にして、やり方を色々とシュミレーションする、といういたずらっ子でも持っている能力って、もとからある機能の拡張版とはいえ素敵だなーと思います。
まず、ないものを心に描くっていうことが結構難しい。さらに、それを色々に組み合わせるっていうのも、虫にはできかねる。
普段気にも留めないようなことがすごく不思議に思えてきます。
心があるって何?意味って何?意味と機能が関係してるなら、機能って何?いつどんな風にしてあらわれたの?
例えば、間違いうるような形で表象(志向的記号)をもつことにどのような利点があるのか。なんで我々は間違えるのか。(猫を見て狸と勘違いしたりってこと)
間違いとは、表象していることがらが現実に成り立っていないということ=
いまそこにないものの表象、志向的表象=
目的・目標を心に抱くことができる。
人はどうして「目的手段推論」を身に着けたのか?
いろんな選択肢の中から一番目的に合ったものを選択するということ。
そのためには、現実にはない、間違いうる表象が必要になる。
ではそれは、どのようにしてあらわれたのか???
未来への準備のため。
目標が実現されるように行動を調整し導く表象が必要だった。
また、手段のシュミレーションのために、「タメ」の時間が必要。間違いうる、ということは「タメ」がある、ということである。
サンデルさんが正義論は「幸福の最大化」「自由の尊重」「美徳の促進」を中心に展開されると言っていて、色々な訴訟問題の例から君ならどっちを正しいとするか、という問いかけをしているんですが、どっちが正解か、正義か、というより、選んだという行為に責任を持つとか、選んだ道が最善ではないと分かった時、反省したり、謝ったり、次失敗しないようにする、っていう態度こそが正解で正義なのかなあと思ったりした。
自分勝手な道ばっかり選んで後悔するもよし。それで一生幸せならそれも正解。でも、協力体制を推している人類の中にあって、一生自分勝手で幸せを保つってむつかしいと思うけどな。
概念を力技で頑張って進化の過程に組み込もうとしているので、この概念が現れたのはこの時で、その時生物はああでこうで、というのをとても丁寧にしています。
例えば「情報」はいつ現れたのか。人がいなけりゃ情報も存在しないのか。ある、と著者の説明。「情報」は出来事と出来事がつながっていたらもう情報なんですって。それが情報学の定義なんだそうです。なので、ぴかっと光って雷が鳴ったら、人がいようがいまいがそれは情報として存在し、流れている。でもって生物は生きるためにそれを利用し始めた…
その「情報」が「受け取られ」「○○である」と心に描かれるようになったのはいつごろで、その時生物の中では何が起こっていたのか。
「○○である」には「間違い」がある時があるけど、それって何のために間違えるのか。
結論から言えば、「間違い」っていうのは「ここには実際にないものがぽんぽん浮かんじゃう」ことで、何の役に立っているかと言うと、行動→結果のシュミレーションをするため。
「ここには実際にないものがぽんぽん浮かんじゃう」能力は、人間を人間らしくしている「自由」や「道徳」にも関わっていて。
我々が持つに値する自由は、過去から反省して、より良い道を探れる、自己をコントロールし、オペレーションできるっていう自由。いくらお金持ちだって、親に人生のレールを敷かれてたら嫌だもんね。
そして道徳とは、過去から反省して、より良い道を探れる、自己をコントロールし、オペレーションできるっていう自由をもち、なおかつ、自分のしたことに責任を持とうとする態度(私は良い人です、人間社会の協力体制にコミットしていますよ、という態度)のこと。
一番面白かったのは、私たちが賞賛したり非難したり、同情したりしなかったりの基準が、相手に選ぶ自由があったか否かだということ。
やむを得なく悪いことをしたら、許しちゃうし、逆に自分の意思で自由に選んだ悪いことだと、非難する。
偶然いいことをしたらあまりほめられないし、自分の意思でしたいいことなら褒められる。
寄付の対象もそう。自分の意思でニートならお金をあげたくないけど、不慮の事故に合った人ならお金をあげる。
こう、自由意志で行ったかどうか、というのは社会の価値観にがっちり組み込まれているんですが、自由意志は実はないんじゃないの?という証明を現代科学はしていってるから、(まったく同じものでも、右にあるものが良いものだとしてしまう癖が人にはあるらしい)いつか「自由意志はない!!悪いこともいいことも、本人のあずかり知らぬところでされる!!」ってことになっちゃって、そうすると我々の社会はどうなっちゃうんだろ?というシュミレーションもしています。
人には自由意思がないとしても、アイスどれを食べるかの自由はある。っていうのが良かった。
なんで、自由意志と価値観ががっちりなんですかね?自己責任とか。自分で選んだ道には自分で責任とりなさいよ。っていう???
自己責任と言えば、これは株の取引にだけ使える言葉なんだって。リスクを説明してもらった上で選ぶなら、自分の責任ですよ。って言う。でも、人生とか会社とか結婚、働く場所、なんでもだけど、未来が分かっててリスク説明してくれる人なんていない。だから選んだ自分の責任でしょっていうのおかしいよね。 ]]>
http://po-m.com/forum/showdoc.php?did=365645
散文(批評随筆小説等)
2021-07-20T18:24:07+09:00
-
二行目には何かの展開が来るはずで
三行目ははなから期待してなかったけど
四行目の隣に
かわいらしい花が咲いている
のを見ていたら六行目に辿り着き
それから
それから さらさら川は流れ
それからの橋
を渡ったところに
十行目で待つと言っていたKがいて
Kはいつでも作者の都合よく
微笑んだり悩んだりしているので
次の行で仲良く連れだって行こうよと言うと
いいよと返事
あ
二人で
ぴ
ょ 水たまりを
ん
越えて
よろけて笑ったりなどしてもう
二十六行目についたはるか遠くには同じ形で
山
山
山
がそびえている
青緑
緑
深緑
といった具合でさわやかな風も吹
く
角を曲
が
り
ついたところは最後の行ではなくまだ韻を踏みながら行く
バク
スカンク
バイクで
スイカを買いに行くのか二匹白黒同士で仲がいい私たちは何台も来たから
バ
ス
に乗る
この停留所には停まりません
あと二行後に停まります
ここで降りるまだまだ行くあしひきの山
本さんちはすぐそこだからぬばたまの黒
瀬さんちも隣だしちはやふる神
名さんちは次の行せをはやみ岩
田さんちはここから十七行先でここではちはやふる神名さんが回覧板をくるくる回している道は交差していて
ド
ク ー
ロ
ー ス
ド
を渡りひとまずロード……の時間が長いといらいらするねゲームの話
まだロード中……(このフィールドはどれだけ広いのかというゲームの話)
岩田さんちはここで
オープンガーデンがあるので入ると
素敵な花 花 ハーブ 花とあり
奇妙な段
差
が
ああっ
穴に
落ちた
じめ
ん
誰かー
いませんかー?
ああ
深い穴でじめっぽく不快
一緒に落ちたKを見ると
そろそろ他の詩や小説に戻らなければならないんだけど出られなかったらどうしよう
どうしようもなく
Kと二人絶望
感が
あっ
横穴がある
ず
っ
と
横
を
進
ん
で
出
る
と
外だ
右が散文で左が詩とある
こちら詩の方は海辺で星の砂と思ったら
歌の砂
歌は沢山ある
浜辺では
猫がおわああと鳴いているし
四人の僧侶が手を振っている
無表情で体操をしている人もいる
赤い手押し車が輝いているし
一つの波が来て
これは不可解な船旅になりそうでも
行く
波にゆら
れて
私と
K
の中では
不安と
期待が
みちて
ゆきて
みち
ゆき
]]>
http://po-m.com/forum/showdoc.php?did=365643
自由詩
2021-07-20T17:45:06+09:00
-
彼はいつも唐突な喋り方をした
そして黙るので沈黙を料理しそこねた我々はつらい気持ちになるのだった
サカガミの母親は彼を随分と気に入っていて
息子なのにさんづけで呼んでいたが
あまり気にする者はいなかった
彼や彼女の事情は気にならなかったが
父親が不在なのはいかにも演じられた不在で
何故だか分からなかったのが困りものだった
サカガミの姉上とやらが遠路はるばる上京してきて
彼の悪口を散々言って帰った
我々はただ頷きながら聞いていたが
それしか話題がないからなのだと
誰がが呟いた
サカガミの気の毒さは我々の共通認識で
生まれつきなのだから本人は気にしていないと言われても
気になるのだったまるで
我々のかわり
全てのかわりに
肩代わりを申し出ているかのようなのだから
誰かが幸せになるとやはり
サカガミに申し訳ないと思うのであり
気にするなよと言える彼を
すこし妬んだりした
サカガミの幸福を誰もが願ったが
何が彼にとっての幸福なのかは図りかねた
彼は何も望まないので
同時に全てを
望むので
サカガミの出自が問題になった
母親は何も覚えていないのであてにはできない
戸籍を取り寄せたらと誰がが言うが
言うそばから無意味なことが分かるのだった
サカガミに恋人ができて
すぐにいなくなり
あれは幻だったのかと我々が首をひねる頃
あの子が海外でとても有名になっているという話がもちあがり
さすがにサカガミの恋人だと言い合った
たとえ一時でも
とにもかくにもサカガミは我々が友人だと思っている数少ない者の一人
たまに忘れ去られたりもするが
いなければやはり寂しい
困ったことがあるなら相談に乗ると
サカガミが言ってくれた事があるが
彼の前では困り事など普通の事で
話すことなどなくなるのだった
サカガミは確かに孤独を生きるものだったが
それは我々も同じなのだと
嫌でも分からせてくれる存在
サカガミの好きな乗り物は台車
風に吹かれるから気持ちいいのだという
タンポポの気持ちだという
そんなことを教えてくれる
歯みがき粉を買わなければならない
また唐突に言うサカガミ
ところで猶予がないとはどういうことだろう
サカガミに聞いてみたいが多分
教えてはくれない ]]>
http://po-m.com/forum/showdoc.php?did=364971
自由詩
2021-06-18T14:28:30+09:00
-
風の夜メロンの飴を売りに来る
ねじれてる瞳の中のお菓子箱
裁縫を教わる度に消えてゆく
梅雨のこと傷つけて後悔してる
眠るひとレモン両手に握ってる
綿菓子を飼っているよな自慢顔
明後日もてるてる坊主桃のまま
素焼きのお皿で地球が大ピンチ
ささやきがやさしい人の口の中 ]]>
http://po-m.com/forum/showdoc.php?did=364482
川柳
2021-05-24T23:41:53+09:00