愛国心を詠む[25]
2006 12/29 03:59
あおば

 
 
突然、
人間なんてららーらーららららーらー♪

みんなが歌いだしたもんだから
あたまの中の空気は凍りつき
ザクザクと行進する
軍靴の音が響いてきた
かけがえのない
愛する国のために
学問を捨て
戦争に行くのです
そぼ降る雨の中を
38式歩兵銃を肩に
ひ弱そうな大学生達が練兵場を行進している雨の降る映像

を羨ましい思いで眺めていた私の親父は大学に行けなくて
戦争が終わったときでも依然として兵卒のままで伍長にも

なれず
誰何されると
敬礼をしたまま微動もせずに
まっすぐに前を見て
自分は某でありますと
大きな声で寝言を言う

ザクザクと軍靴の音がして
テレビの中にも
楽しそうな大学生の行軍が見えた。
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