■現代詩フォーラム朗読部■[416]
2007 05/30 12:46
佐々宝砂

>>415
感想ありがとうです。

でもこれユニークな作品ではありません。自分でも言うのもなんですが、全く孤高の作品ではありません。数少ないながら類似品が存在し、過去からの系譜もあります。ウィキの説明にもある通り、ニセ外国語はチャールズ・チャップリンも使っていました。映像や音声として残っていないだけで、もっと古くからボードビリアンの芸として存在していただろうと思います。私はそのニセ外国語という手法(これだってやっぱり手法です)を、ニセ擬古文という趣向に変えてみただけに過ぎません。基本的なやりかたはタモリのハナモゲラ語とほとんど変わらず、でたらめの中にその言語らしい語尾や単語を含ませる、というものです。私の場合、紛れ込ませている古語らしいものの代表は係り結びです。「こそ」を使うと、文末がエ行になります。現代の日本語では、体言止めか命令形にしない限りエ行で終わることはほとんどない、あるいはない、と思います。そのため係り結びを使い特に已然形に終わらせることが、よりいっそう古文らしさを醸し出します。とはいえ、でたらめです。もっとも、でたらめを作るにはけっこう才能と下らない研究が必要なのです。

ちなみに、タイトルおよび本文に出てくる「研数院」は参考書出版社の名前でもありますが、中村誠一の傑作ハナモゲラ小説「鈴唐毛の馬慣れ」に登場する主人公の愛馬の名前でもあります。つまりこのバカバカしい作品は、かつて一世を風靡したハナモゲラ語使いたちへのオマージュでもあるのです。

#ついでにこっそりつけくわえれば、朗読テキストにはテキストとしての意味が必要だ、テキストの良し悪しが重要だとおっしゃるみなさんへのアンチテーゼでもあります。全然意味のないようなテキストは、そもそも良し悪しがあるのか。私にもよくわかりません。わからないので、試しにやってみました。
スレッドへ