2006 08/12 15:14
佐々宝砂
dreaming.1.
月明かりのした夜の畑を歩いている。専業農家の畑ではなく、兼業農家が自分の家で食べるぶんを作ってる、って感じの畑で、一列ごとに作物がちがう。ぼさぼさしたモロヘイヤの茂みの下に藁が敷いてあって、のぞき込むとコオロギの大群がいた。あれ、こんなにコオロギがいるんだ、でも声が聞こえないし、まだ幼虫なのかしら、と思ってもう一度のぞき込むと、コオロギではなくゴキブリだった。わりとびっくりしなかった。あーゴキブリなんだそりゃ鳴かないわ、と思っただけだった。
dreaming.2.
身体を交換しよう、と言われて交換した。で、私は三十代の黒人男になったのだった。それから、さて、おうちに帰ろうとして、はた、と気づいた。私が男になってしまったら私の夫が困るではないか? 姿形はどーでもよいし、ヒトサマが私を男のように扱おうとも女として扱おうともそれはどっちでもよいが、それでも私は女なので女の性器を持ってないとおかしい。でもってその部分だけ取り返しにいった。まるでジェンダーとセクシュアリティーの違いの解説みたいな夢だ、と目がさめて思った。
dreaming.3.
なぜだかファッションモデルのようなことをしているのだが、舞台に上がっているのは私より年上のおばちゃんばかりである(私もおばはんだけどよ)。おばちゃんたちはみな、えらく豪勢でド派手な社交ダンスのドレスを着て気取って歩いている。アンタもドレスを着なさい、うちのチームの点数が下がるでしょと言われた。よくわからんままにドレスを物色したがどれも着たくない。金ぴかだったりレースフリフリ過ぎたりとにかくどれも着たくない。で、何を思ったか私は全身に緑の塗料を塗って舞台にあがることにした。