2006 02/06 14:56
蒸発王
時代設定はイマイチ分からないが政府は馬の公用化を考えていて、その試験馬として3頭の馬をピックアップした。
年長のリュウ、年下でやんちゃなアマチ、若いけど落ち着いているハルカの三頭。
三頭の名前はもっと長くてえらそうな名前だったが、私達3人の乗り手はその名を短くしてこう呼んでいた。
試験的な任務は病気の皇太子が手術通をうける時の護衛として遠くの都市まで同行すること。特に、汽車につないで馬を走らせることが可能なのかを試験するもので、国民のあいだからは賛否両論がとびかっていた。この試験護送をするにしてもまたテストがあり、巨大な工業ロボットの点検がそのテストだった。暗いなか、馬の通れるギリギリのスペースの通路をいく。案内人でさえ足を踏み外して機械の間へ落ちていくのをなんとか切りぬけて、汽車に馬が繋がれるところまできた。
私が乗る事になったのはハルカで、白いなかにグレーの斑がほんのりと浮ぶ模様をした馬だった。真っ黒なリュウに乗っているのは森田さんというベテランの騎手で、栗毛のアマチに乗っているのはアーヤというシャンソン歌手だった。繋ぐ順番はリュウ・アマチ・ハルカで、好奇心とやっかみの視線の中汽車は走り出した。レールの窪みの間を上手く走るのは難しかったが、トンネルや斜面などすんなりこえて、町についた。
病院についたところ、馬が不衛生だと思ったらしく医療関係者はいい顔をしなかった。同行できるところもかぎられており、私達と3頭はそうそうに院外に出された。そこにあった公園で、ハルカにえさをやっていると、二人の警備員が嬉しそうに近づいてきて、馬の写真を撮っていいか聞いてきた。アーヤなどは名詞も渡していたが、快くOKしてハルカに『ハルカ、ちゃんと立ちなさい』といって立たせ、写真をとさせていた所で目がさめた。