2004 10/24 23:52
がらんどう
襖を外した押し入れの上段には祖母の死体が頭に白い布を被せられて横たわっている。
そんな部屋で私は寝起きしている。
部屋のすぐ外には広いベランダがあり、そこでは椅子が並べられ「セカチュー」の上映会が行われている。
ベランダ中を満たす観葉植物の繁みの中で、私は少しむくれた表情をしたショートカットの少女を見る。
彼女を見失った私はベランダの一角にあるサンルームを通り抜けて自室へと戻る。
そこには大量の飲食物が封を開けられて散らばっている。
私は部屋を訪れた友人に積極的に駄菓子を勧めるが、高価そうな菓子箱の中に隠された本の存在には気づかれないように注意する。
居間には親類と大学時代の友人たちが揃っている。
友人の一人が象牙のマージャンパイを買ってきたと示す。
「人は変わるさ」とある先輩が言う。
私は彼が生物学科を辞めて医学部に入学し直したことを思い出す。
彼らとともに麻雀卓についた私は南家を引く。
席が決まると私は飲みかけのペットボトル茶を取りに自室へ戻る。
そこでは、九相詩絵巻の「腐爛の相」のごとく倍の大きさにまで膨れあがった祖母の死体が、押し入れの中で不器用に身を起こそうとしている。