2004 10/16 19:51
キクチ
家の近所が焼け跡のように広場になっている、流れている空気がおかしい。道が拓け、車が一台も無い。道の奥、役人が立っている。役人は甲冑を着ている。仮装なのか、思う間も無く、引き摺られ尋問される。素性を述べると「手伝え」と言われる。甲冑の役人は幾らか偉く、見渡すと何故気付かなかったのかと思う椅子に縛り付けられた罪人がいる。その罪人の顔を知っているようで、どうしても思い出せない。罪人は何かの罪を問われていて、拷問にかけられている。拷問を執行する浮浪者のような男が笑う。罪人は何本かの指に、針が突き刺さったまま、目と額と体中から血の筋を流している。手伝え、と言われたので布で罪人の顔を拭い、腫れ上がった瞼を切って血を出す。
どこかで、会った事のある顔。
どけ、と言われて退くと、鞭がふるわれる。うめき声。罪人は気を失いかけている。罪人の飼い犬が連れてこられる。他に家族がいないのだと教えられる。黒いドーベルマンに似た犬は首の鎖を思い切り引かれ、飼主に寄ろうとする。鞭の音。逞しい犬が怯えきった声で鳴く。私はやれ、と命じられて黒い犬の頭を、ウサギの罠のような上下の大きな歯に嵌め込む役に命ぜられる。そしてどうしてもそれが出来ない。