何故あなたは詩を書くのか?[169]
2006 10/01 20:03
佐々宝砂

私、もしかしたら、引用されることを望んでいるのかもしれない。
ひょっとしたら、私は、盗用すらされたいよーなのである。

たとえば若山牧水や与謝野晶子の短歌は、
これまで幾度恋文に引用されただろう。
あるいは江戸の古川柳、俳句、それら短い詩句のいくつかは、
作者が亡くなったのち何百年の時を生き、今もなお引用される。
それを言うなら万葉集だって。
詠人不知、作者が誰か忘却されても愛唱される。
それこそ千年の時を生きて。
引用され続ける言葉は、その言葉を生んだ人の生命を越える。
そんなものが書けたらねえ。いやとても書けねーか。
あああああでもそんな奇跡の一行がほしい。
二重の意味でほしい。
そんな奇跡の一行を読みたい。
そんな奇跡の一行を書きたい。

ときどき主張してきたことだが、私は基本的に書き換えのヒトだ。
私の詩の半分くらいは、既存の文学作品を元ネタにしている。
露骨なパロディ、パスティーシュもある。
私は、だから、私の作品を引用するな盗用するなと主張しない。

私は、引用されて長生きしたいのだ。
だから詩を書くの、かもしれない。
ひょっとしたら、私は、作品全文無断流用されたって喜ぶかもしれない。
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