詩とメンヘル[473]
2007 10/25 17:15
田代深子

 職場ですぐ近くの机にいる女性が、わたしを嫉妬妄想の対象にしていて、びっくりした。彼女の好きな男性社員とわたしが付き合っていて、いや、それどころでなく子どももいる、わたしがみんなの前で彼女にそう言った、と、朝っぱらから職場のトイレで怒鳴り散らされた。
 それは誤解や勘ぐりという領域でなく(実際その男性社員とわたしは、フロアも違い、日に何度か仕事の用で会話する程度の間柄で、そのように疑われることすら驚きだ)、まさに妄想なのだが、これはもしや軽い統合失調症なのかな…と推察しつつも、身近な職場の人に、あのように激しい憎悪を向けられると、やはりけっこうびびるものだ。
 とはいえ、上司らにも一応説明したが、仕事はまじめにしているし、会社としては何ともしようがない。どうやら、わたしが入社する以前からそういう騒ぎは何度か起こしているらしい。「彼女にはそういうときがある」ということで見守ることになりそうだ。
 わたしとしても、それでべつに不満はないが…むしろわたしが悪いことをした気分でしんどい。すなわち、こちらとしても彼女に悪気がなかったわけではないのだ。いや、嫌がらせや陰口をしたことは断じてないが、この人は苦手だ、という素っ気ない態度は露わだったはずだからだ。それが彼女を追い詰めたのだろうとも思った。
 慢性化した妄想癖は直りにくいというが、表面上の生活に支障がないなら、周囲が気をつけることでやっていけるかもしれない。きちんと治療をしたほうがいいのではないか、とも思わないではないが…そんなことはさらに本人には言えないわけで…
 何事もなかったように仕事をしている彼女を見ていると、とても不思議な気持ちになる。人間の精神というのは、本当に別の世界を作りあげることができるんだ。なんかすごい。いや本人はたいへんだと思うけど。いやでも、たいへんなのはそうでなくても同じだしね。
スレッドへ