恋文[621]
2009 05/21 05:44
佐々宝砂

最初にであったとき
あなたは馬鹿な金髪男で
わたしはかわいげのないショートカットのサロペット女で
しかもどっちも三十面さげていたのだから
もはや笑い話だと思うのだが
(きっとそういう領域だと思うのだが)

わたしはダンスの相手もできなくて
(そうあなたのダンスの相手はわたしの「女らしい」先輩で)
カラオケのデュエットの相手すらできなくて
(だってわたしの声はかるいうえに低くて)

あなたと一緒にできることは
ただ
お酒をのむことと
セックスすることで

ああ
もうひとつあった

あなたの運転するハーレーのうしろで
あなたにつかまって
あなたと同じように
呼吸すること

あれから
十年は経ってしまったのだけれど
覚えている

一緒に呼吸しようよ
お酒抜きで

あのときみたいに
国道150号線を走ろうよ
海沿いの
ただひたすら走ってくだけの道を
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