恋文[542]
2006 06/30 22:13
ふるる

「時雨(しぐれ)」

空港は雨

傘の柄を
飛行機の音が震わせ て

グレーの雲
垂れ込めて
時雨 冷たく
震え て

傘を閉じて
ターミナルを
黙って歩く
ふたりで

もうすこし
時間があったなら
もうすこし

いいえ
時間は雨の粒ほどあったのに
あったの に

ターミナルのベンチに
黙って座る
ふたりで


アナウンスが
出発の時間が来たことを告げ

あのアナウンスほど明るい
言葉があったなら
あったな ら




(あなたの手の中に私の手がくるまれ て)

あたたかい時間は
あとすこし
離れるのも
きっとすこし ね
(きっと)・・・・・
(きっと)・・・・・・

雨でも飛行機は飛ぶんでしょう

雲の上は晴れているから

グレーの雲
垂れ込めて
時雨 冷たく
震え て

けれど
雲の上には太陽があったことを


(あなたは私に触れ て)・・・・・・
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