恋文[439]
05/07 18:39
六崎杏介

I love you.の一言が
まばゆい光を湛える
それは幻覚を誘う木漏れ日の様であったり
ナイフに明滅する電球の嗚咽の様であったり
シアターの銀幕一面を埋め尽くす天使の軍勢の様であったり

私のI love you.は暗く腐臭のする一つの檻だ
私の大好きな言葉は私の手によって繰り返し呪いをかけられた
I love you.が輝く為に必要な、社会的な能力から見離された私は
恐怖から檻の上で煙草を燃やし、呪咀を繰り返しながら震えている
ねえ、檻の中の君よ、逃げないで頂戴ね、怖いんだ、傍にいて頂戴ね

私は、沈黙が怖い。
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