恋文[145]
04/29 02:34
佐々宝砂

百年はたぶん待てない
でもあと三十年
あと三十年

やらなくちゃならないことがわたしにはある
やらなくちゃならないことがあなたにもある

さんじゅうねんなら。
待てる。
さんじゅうねんなら。
あなたもわたしも
待てる。

百年待ったら花は咲くのだろうか
夢十夜の白い花のように
あるいは
彼岸花のような
死にまぢかい
血のように赤い花が
咲くのだろうか

信じている
たとえばあなたとわたしが
かさかさと白く乾いた骨になったとしても
(仮定ではない、いつかきっと骨になる)

三十年待つ
あなたが死んでも待つ
だから
わたしが死んでも
どうか待っていて
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