なごみ喫茶(4th season)[861]
2006 07/17 01:03
小池房枝

sage ふるるさま、みなさま、こんばんは、おじゃまいたします。
先日来、あることで思い出した詩が頭を離れなくて、
でも暗記してるわけでもなかったので借りて来て打ち写してみました。
置かせて下さいまし。


のちのおもひに
               立原道造


  夢はいつもかへつて行つた 山の麓のさびしい村に
  水引草に風が立ち
  草ひばりのうたひやまない
  しずまりかへつた午さがりの林道を
  
  うららかに青い空には陽がてり 火山は眠つてゐた
  ――そして私は
  見て来たものを 島々を 波を 岬を 日光月光を
  だれもきいてゐないと知りながら 語りつづけた……

  夢は そのさきには もうゆかない
  なにもかも 忘れ果てようとおもひ
  忘れつくしたことさへ 忘れてしまつたときには
  
  夢は 真冬の追憶のうちに凍るであらう
  そして それは戸をあけて 寂寥のなかに
  星くづにてらされた道を過ぎ去るであらう


今、こんな時代だと、
だれもきいていないと知りながら語り続ける人っていっそう少ないのかな。
だれもってだれだろう。
そんなことを。

すみません、場所を借りました。

#萱草、季節ですね。咲いているのあちこちで見かけます。
#「夢見たものは…」を知ってはいても。
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