質問スレ[249]
2005 10/10 22:01
吉岡孝次

>>248
『日本の詩歌 25 北川冬彦 安西冬衛 北園克衛 春山行夫 竹中郁』(中公文庫)でも「内臓」となっていますが、このシリーズに「馬」を収めるに当たっては北川氏本人の意向が反映しているところを見ると、間違っていたかどうかはともかく「内蔵」に変更する意思はなかったのではないかと思います。以下、小海永二氏による作品解説から引用します。

--引用はじまり

「馬」は第三詩集『戦争』に、「ハードル・レース」は第六詩集『実験室』に収められている作品だが、共にこの『検温器と花』の時期に書かれたものであるので、作者の意向によってここに収めた。

--引用おわり
#『検温器と花』は第二詩集。


まあ、たしかに収録に当たってちゃんと直すべきところを誤って載せてしまった可能性もありますが、この『日本の詩歌 25』は昭和60年に再版されており、初版(昭和50年)に誤りがあれば普通は訂正があるであろうことを考えると、少なくともこのあたりでの作者としての最終稿では「内臓」で良いのではないかと思います。
#ちなみに北川冬彦の没年は1990年(=平成2年)とのことです。


もっとも、当初の意図は「内蔵」だった(すなわち「内臓」は誤記だった)としても、今更「いや、実は・・」とは作者も言えなかったのかもしれませんが。
以下、同じく小海氏の解説です。

--引用はじまり

「馬」はこの詩人の代表作として知られ、多くの詩人や詩論家たちによって様々の解釈が下されているが、池田克己による「馬の内臓に透視された軍港。この一枚の画面から、奇妙な構造の仕組まれた軍国の秘密を強い暗示として与えられる」という指摘が特に鋭い。

--引用おわり

本当は文芸誌でも何でもいいから本人のちゃんとしたコメントがあればそれが動かぬ証拠になるのでしょうが・・・
#この「内臓」の表記は、私も目にするたびに「これでいいのかなあ」と思っていました。
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