質問スレ[204]
2004 10/10 00:45
本木はじめ

突然すいません。どなたか、この詩が誰の詩かわかる方いらっしゃいませんか?

閉ざされたものが好きだ
密室 箱 できれば墓
外側から錠をおろされないなら
内側から鍵をかける
鍵穴も どんな小さな隙間さえも
落とさず 目貼りしなければ
胸しめつけられる黴の匂いの中で
二つの膝こぞうを抱いて 蹲り
息をつめて窒息の練習 ときには
セルロイドの黄金仮面をかぶって
灰いろのフィルムの中の灰いろの砂漠の
遥かな地平線と平行になり 目をつぶる
 

図形ならば 迷路図形
遊戯ならば 「そして誰もいなくなった」
行為ならば 裏切り
時間ならば トワイライト 昼でも夜でもない時
メカならば 望遠鏡 顕微鏡 針穴写真機
恋人ならば 従妹 若い叔母 もちろんプラトニック
鉱物ならば 雲母 水晶 もちろん原石
動物ならば 三葉虫 爬虫類 腔腸動物
植物ならば 菌類 とくに満月の夜を歩行するツキヨタケ
天体ならば 冥王星 カニ星雲 ブラック・ホール
未開民族の奇習写真 「殺」という字で始まる熟語
一々にカードを拵え 神経質に整理して
抽出しに仕舞いこみ 整理しなおしては
いびつな宇宙のいびつな模型を たえず組み変える
病的に長い指の少年がいる 


兄弟が欲しい
夏の終わりの 雑草の繁った
母親の青白い下腹部に すでに
鉄条網が巻きつけてあるなら
それはそれでお誂えむき
人玉の燃える雨の夜の理科室から
人体少年を横抱きに攫ってくる
カーテンを引き 息を鎮めたら
極彩色の内臓を ひとつずつ
取り出して 恐怖の宿りを確める
恐怖の宿るところ 魂も宿る
それが兄でも弟でも 魂が欲しい
自分にはあらかじめ無いにしても

一篇の詩なのか違う詩なのかわからないのですが。
とても気に入っているので知りたいのです。
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